COLUMN[2014.12.09]
パッションがそんなに持続するわけないだろ
Vol.6 『2014年7月定期報告』
パッション見事に長続きしていません。もう12月中旬になっちゃいます。4ヶ月遅れとかですね…

「破天荒、破壊、地味、期待、消費、予定調和(メモより)」
前回、「予定調和ってそんな悪いもんじゃないけど、その真逆なものも同時に得たい」みたいなことを書きました。
破壊的だったり破天荒だったりすることが、予定調和、安易に消費されるものと対極にあるわけではないんじゃないか、とも思います。
わかりにくいことが美徳ではないし、わかりやすいことは必ずしも愚直なことではない。その逆もしかり。
予測不能のものを毎回のように期待する、ということも予定調和の一種になるのではないか、とか。
どーんとこい!と全てを飲み込む姿勢でいても、ある側面からみればそれは思考停止とも思えるし、全てに疑問を投げかけるのも、これまた疑問です(個人の考察のためならず、というか、そんなの知るか!というか)
個人の思い入れと期待が何もなくなれば、それは誰も観ていないことと同じだし、当たり前ながら、何事もバランスが大事ということか。

ファンというのはやっかいですね、というお話でした。

2014年7月 9回 7/ 4(金)アナログフィッシュASIAN KUNG-FU GENERATION渋谷CLUB QUATTRO アジカンとアナログフィッシュのツーマンはなんと7年ぶり(前回は下北沢シェルター)。近年は後藤と下岡がお互いに共鳴しあっている感覚があったが、最近はルックスも似てきたようにも思えて少し笑った(眼鏡のせいか)。アジカンは半分は知っている曲で、それを初めて聴いた昔の事など思い出し、考えをめぐらせた。久しぶりに観たアナログは初めて聴いた『Nightfever』が印象的だった。まだまだ、ワクワクさせられる。安心感とともに想像を超えてくる部分にひかれるのだろう。 7/ 5(土)牧野琢磨アベユミコ新大久保カフェアリエ カフェアリエのレアツーマン、今回は午前中の開演、ドライカレーとドリンク付きで1800円というなんとも優雅なライブだった。NRQのギター牧野と片想い、アイラブエー、カジメラのオラリーことアベユミコが出演。牧野は片想いのサポートに入ることもあり、そこまで意外な組み合わせではないが、何より牧野が弾き語りをするというのがレアである。アベは自曲やカバーの弾き語り、片想いなどよりもパーソナルな感覚、心の暗く柔らかい部分が垣間見えるよう。牧野は普段の声からあまり想像のつかない、低音の渋い声で、曲提供した歌をセルフカバー。本人も手ごたえあった様子で、今日だけのレアなものにならず、何度も、さまざまな人と聴きたい、と強く思った。 7/ 5(土)黒岡まさひろ厚海義朗HIGURE 17-15 cas 鈴木竜一朗 写真展【 深く眠る/漂泊する 】。特殊な技法で創作された作品たち、写真は光と影なのか、と思っていたけれど、その作品には光でも影でもない何かがある気がして、それは時間なのだろうか、とぼんやり考えながら観た。現実感も非現実感も両方が強調されていて、元の写真と見比べるととても興味深かった。そのギャラリーで急遽行われた黒岡まさひろ、厚海義朗のライブは、また別の非現実感を静かに引き出していたように感じられた。 7/ 6(日)NRQ北浦和クークーバード クークーバードはわずか15席ほどの小さな店。ライブスケジュールを見ると、こんな間近でこの人たちのライブを観ていいんだろうか?と驚くようなラインナップが並んでいる。この日はNRQのなんとワンマンライブ。とにかく演者と距離が近い。膝をつき合わせて座り、吉田の二胡の弓の先に気を配る。服部のコントラバスもいつも以上の存在感。会場はドラムセットが組めないため、中尾は管楽器のみでの参加。普段ドラムの曲をどのように演奏するのかに注目が集まった。牧野が急かすのを尻目に中尾は涼しい顔をして、曲が始まってからおもむろに楽器を選ぶ(サックスとクラリネット)。無理やりソロをふる牧野も、中尾のソロがあまりに見事すぎて笑ってしまっていた。この時点で今年のNRQの一番のライブだった、といいたくなるライブ。店の雰囲気も素晴らしくて、帰るのが本当に名残惜しかった。 7/11(金)古川麦伴瀬朝彦 with biobiopatata新大久保space do 表現(Hyogen)やceroのサポートなどでも活躍する音楽家、古川麦の1stフルアルバム『far/close』のリリースパーティー。対バンは、やはり今年アルバム『カリハラのうた』を発売した伴瀬朝彦が、片想いなどさまざまに活躍する遠藤里美率いるbiobiopatataとのコラボ豪華編成版。古川もレコーディングメンバー+ゲストミュージシャンを入れた特別編成、どちらも管弦とりどりでなんとも贅沢な夜だ。伴瀬が楽器の一部としてビオパタと混ざり、歌としてビオパタに取り囲まれ、包まれ、持ち上げられ、また歌が演奏を誘って、手を取り合って、などなど、一曲の中でも様々な関わりや表情や風景があらわれては消えていった。古川のライブは、空気が震える、鳴る、というのがこんなに優しく鮮やかなものか、と感じいっている間にあっというまに過ぎ去っていってしまった。風景を見た、というより、その場の空気を感じてきた、という印象。着席し優雅にライブを堪能したが、心の中はざわざわと揺れっぱなしであった。 7/15(火)片想いスカート、DJ:MOODMAN渋谷CLUB QUATTRO 二組のみでは初の組み合わせだろうか。どちらもツーマンというボリュームで観れるのも、このサイズのライブハウスへの出演というのも嬉しい。MC少なく曲を立て続けに演奏していくスカート。繊細さとダイナミックさ、久しぶりにライブを観たが、ネクストステージどころの話ではなく、圧倒された。片想いはホルン大河原欠席でサポートにNRQギター牧野が参加。二曲ほどスカート澤部がゲスト参加、平日をものともせずにつめかけた観客も、まつりのように熱狂する。片想いの、遠巻きにみてても、突っ込んでいっても、等しく感じられる何かは、なんなのだろう、と今日も自分に問い、恥ずかしいけれど、「いとしいな!」と大声でいいたくなるようなそんなライブだった。 7/17(木)王舟Hara Kazutoshi渋谷WWW 王舟を知って、二枚のCDRを手に入れたのが2010年終わり頃、それから今まで、ずっと新譜が出るのを待ちわびていた。本当に出るのかな、と思っていたアルバムは無事にリリースされ、ついにこの日レコ発を迎えて、ライブ前から何だか感極まりそうだった。 ゲストアクトはHara Kazutoshi。王舟が度々カバーする名曲『楽しい暮らし』の本家である。彼もまた新譜が待ち遠しい…(前作『楽しい暮らし』は2011年リリース)この日も10曲中5曲が未音源化曲だった。王舟はバンドセット、アコースティックセットどちらも堪能できる構成。アルバムをリリースした、という事実からなのか、いつもにまして堂々たる、というか、余裕というかマイペースというか。以前よりとても大きなものを感じるのに、王舟は王舟だなあ、と当たり前の事を思ったり。以前のバンドセットや、録音に参加したmmm(当時はまだ活動休止中)の、『瞬間』をステージで歌う姿が観られて、感無量だった。 アンコール最後は出演者全員で『楽しい暮らし』を演奏し、大団円を迎えた。次は三年経たずに新譜が聴きたいが、『Wang』を聴いていたら、結構三年なんて待てちゃうかもしれないな、と思ったりもする。 7/23(水)「新曲の部屋 vol.7川辺素黒岡まさひろ阿佐ヶ谷Roji 新曲の部屋も7回目。今回のゲストはミツメの川辺である。まずはBPMとコード進行を決め、休憩時間におおまかな打ち込みを川辺が済ませ、そこから作詞タイム。客にマイクを渡して、白から連想する単語をあげさせたりしながら、川辺と黒岡が歌詞を一行ずつリレーするように考えていく。黒岡は自分の自分たる核の部分を全て封じ込めて歌詞をひねり出していたそう。意外にも川辺がリードする場面も多く、やり直したがりな部分も黒岡と共通する部分もあり、相性は悪くない印象だった。二人の詞世界の交わりも、ギリギリ淡さを保ってるような、それでも少し首をひねりたくなるような感じもあり。出来上がった曲は『光の国境』と名付けられた。 7/30(水)失敗しない生き方ランタンパレードホライズン山下宅配便下北沢440 MUSIC for LIFE企画、ホライズン山下宅配便、失敗しない生き方、ランタンパレード、というなかなかない組み合わせのイベント(時間的な都合により二バンド目からの参加となった)。ランタンパレードのトリオ編成は初見だったが、光永の叩いてないドラムの部分や、佐藤のギターの間合いなどがベースレスの編成によって際立ち、清水の歌と言葉が生々しく響いていた。 トリはホライズン山下宅配便。黒岡のつかみ具合もすべり具合もバランスよく、殺気立つ倉林を煽るように一尊もテンション高め、伴瀬はソロや片想いでは見られない険しい表情での演奏。凄みしかないのに、決してハードルは高くないし、突き放す部分はあるけれど、気がつくと皆巻き込まれている。新曲『エラッタ』の切れ味もよく、8月のツアーが楽しみになるライブだった。
タカクワユキコ
web系仕事をしながら、ライター的な事もしたりしなかったりする毎日。食べたり聴いたり集めたりでかけたりしながらTOTE運営中。
プロフィール画像はジョセフ・アルフ・ポルカのてんしんくんによる似顔絵。
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