LOVE LOVE LOVE『Flag』インタビュー
INTERVIEW[2013.11.08]
■M3.HaTeNa
●これはギターが効いてますね。
浦山:効いてましたっけ?
澤本:(笑)。
寺井:フレーズ的に?
浦山:これ最初のフレーズは寺井君ですね。
寺井:キーボードで。これ実はね、ギターとエレピが掛け合いみたいになってて、上から攻めていくのと下から駆け上がっていくのとあって、エレピでやろうと思ってたんですけど、鍵盤に寄り過ぎるのもスリーピースとしてどうなんやろ思て、逆にしたりして。
●なるほど。それもあってかな、音が賑やかな感じします。
浦山:結構、厚みを出すと言うよりは分解してるから、色んなとこから音が鳴ってるみたいな感じに思えるのかも。ガーンって厚みで攻めるよりは、抜き差し突き刺し、あるとこにボーカルが来て、楽器が来て、クロスしてるから賑やかに聴こえるんじゃないですかね。色んなところから音が届く感じですよね。あんまりそういうのやってこなかったかも。
●歌詞的には?
寺井:これは…アイデンティティ・クライシスみたいな。事をテーマに書いていこうかなって思って。無機的な感じに見えたら良いなと思って、カタカナにしてみたり。
●自問自答系?
浦山:自分の事しか言ってないですからね(笑)。
寺井:なんか、そういう瞬間って高校生、思春期ですよね、いわゆる。そういう思春期の時しか来ないかと思ったら、人生常々あるというか。出来上がって来たと思ったら崩れて、崩れた時にまた作り直そうと思って組み上げて、また崩れて。まだまだあるなって、生きてる限りあるんだなって。一つアイデンティティを作り上げる中で、大事なのは人なんやなって、自分以外の人が凄い重要やなって。社会における自分の立ち位置とか。何をしてるとかアルバイトとか会社員とか、自分以外の周りの何か。自分もバンドに属してなければ何なんだろう?って。何て自分を説明したらいいんやろう?とか。そういう事を考えてたら怖いっちゃ怖いし。それを歌詞にしたかった。でも今回書きたい事いっぱいあったんですよ。明確に、曲とは別に。これを書いていきたい、これを書いていきたいって。そんなかの、自分のアイデンティティについて。
●面白い曲ですよね。
寺井:音楽的には今までのLOVE LOVE LOVEには無かったかも知れないですね。かろうじて『サイダー』のダンシングVer.がそっちにいきそうな気配はあったけど。それよりはもうちょっとポップではないかな。
浦山:捻くれてるかな。
寺井:ちょっと洋楽の感じが強いかも。
浦山:当初は、『アンサーソング』にちょっと打ち込み的な要素があったから、その打ち込みっぽい感じを人力でやれへんか?ってところで。その時に出来てた曲だったと思う。
寺井:ああ、そうね。
浦山:YMOとか、ああいう感じをバンドで出来へんかって。だからちょっと分解されてるし。エレピの感じとか、ギターのフレーズとかも、ちょっと変わった感じで。
寺井:全体的にそうしようって言ってたの、今思い出したわ(笑)。YMOみたいにしようって。今YMOにこってて。今まで聴けなかったんですよ。細野さんとか好きやったんですけど、聴きたいタイミングに中々ならなくて。ドラムのこととか考えてたとき、YMOって電子楽器を人間がどう操るかっていうコンセプトがあったりして。基本自分は生っぽい感じでやりたいんですよ。どんな電子楽器を使ったりしても。その考え方がやっと合わさってくれて、自分と。急に興味が出てきて。リズムの事とかも何ぼずらしたら4つ打ちがシャッフルみたいになんやろかとか(笑)面白いなぁって。リズムってこんなちょっとで変わんねんなーって。

■M4.きみとぼくの関係(その1)
●はい、その1って何?
寺井:その2があるって事ですよ(笑)。
●まあそうですよね(笑)。
寺井:これも曲先行ですよね。曲のノリとかを凄く大事にして。
浦山:何か、USインディ系のストレートに真っ直ぐ行く感じのイメージがあって。
寺井:…なんなかったけどね(笑)。
澤本:あはは(笑)。
浦山:自分たちの持ってる雰囲気の中にそういうのは無いんやなって(笑)。
全員:わははは(笑)。
●でも、その辺好きだったとかでもなく?
寺井:俺は好きでしたね。それをね、バンドでやりたかったんだけど。自分も含めて、なんないっていう。
澤本:ふはは(笑)。なんなかったな。
寺井:ある意味ショックを受けた曲でもある。外国にでも住まないと。あと短いですね、この曲は。
澤本:イントロが決まってなくて、決まってなかったと言うか、偶然録り直した感じなんですけど。
浦山:変なとこからドラムが始まるんですよ。カウントと。
澤本:最初の仮歌を入れて、クリックを入れて、音を作るタイミングで、いまいち歌がずれてたんですよクリックと。それで始めて録ってて、ええやんってなって(笑)。
浦山:何これ?って。
澤本:変な感じで始まって。事故で出来たイントロ。
●なるほど。今回今までと違うことが色々ありますね(笑)。
浦山:普通のセオリーだったらやらない。
寺井:レディオヘッドであったりするんですけどね。それを思い出しましたね。再現できるかもって(笑)。インタビューでも言えるぞって。
●(笑)ストレートなラブソングですよね。
寺井:これは特に言う事は無いんですけど。結果としては結構これが一番明るいかもしれないですね。音は意識してましたけど。やっぱ、リズミックに弾けないとこの曲はだめだったりするから、その辺は気を配って。この曲一番気を配ってたかも。後はね割と歌詞に合わせてメロディを作ってたんで。ねじ込んだりとか。これはあんまりそういう事しなくて、当てはまらへんから2日の山とか。書きたい事が決まってた曲は変えたくないっていうか、歌詞にメロディを合わせたりを結構してて。これはあんまりしてないけど。

■M5.Yesterday
寺井:初めてタイトルに英単語が。悩んだんですけどね。
●はい。これはスタンダードな感じですね。
寺井:まあ、LOVE LOVE LOVE的には。
浦山:これは合宿してる時に、元ネタのAメロだけが出来た。
寺井:Aメロしかなかった。
浦山:でもAメロのメロディが良いから、これは何とかして発展させようって言ってて、しばらく放置されてた。
澤本:これも当日にガラリとアレンジが変わって。
浦山:スロウなテンポで、ただ何かね、メロディが良かったからメロディを生かしつつ、ドン・ット・ダン、ってドラムのフレーズが絶対要るだろって僕ずっと言ってて(笑)、えー?みたいに最初言ってたんですけど、無難にエイトビートでいった方が良いんじゃない、とか。結局僕は山下達郎さんとかのイメージから来てたんですけど、エンジニアさんと話をすると、フィルスペクターやって話しになって。
寺井:音を重ねて。
浦山:どんどん重ねてアンビエントっぽくして、どれが鳴ってるか分かんないくらいに重ねるんですけど、最初に印象的なカカカッて音があったと思うんですけど、あれもフィルスペクターで。アレは何の音なんだ?って皆で調べて。
澤本:カスタネットだって(笑)。
浦山:カスタネットどうやって鳴らしてんだ?あれって。普通の小学校で使ってるようなカスタネットで。
寺井:重ねましたね、同じ音を。フィルスペクター方式って知らなくて。何か、これも小泉さんがこういうアレンジや方向性もあるよって。アレンジに凄い時間かかったかな。方向性が定まらないままレコーディングに突入してて。
浦山:ただ、J-POPと言われる感じにはしたかった。
寺井:コード進行には結構こだわりを置いてました。今までのLOVE LOVE LOVEの曲を振り返って、サビ前の感じとか起伏を付けて。曲作りとしては今までしないようなコード進行をしてて。あと結構メロディとかも、過去の我々は全部サビは歌詞は変わるけど一緒だったり、歌詞も一緒だったり、そんなにメロディ変わんないじゃないですか?結構コードが変わる方向で変化をつけてたりしたんですけど、この曲は細かく変えてるんですよね。3サビとか展開を付けてるし。単純だけど聴き飽きないというか。
浦山:最初はね、ストレートなロックサウンドに行きかけたんですけど。
澤本:結構単調な方向に。ドラム的にはずーっと同じフレーズで歌で盛り上げる方向やったんですけど、全体的にこう、大きな波を作って。
●なるほど。今回短い制作期間の中でいろんな事が起こってますね。
浦山:起こってますねー(笑)。
寺井:それが出来るのも10年やってきたからですね。
澤本:(笑)。
●歌詞的には?
寺井:これも言う事は無いんですけど、一個、ちょっと歌詞とはずれるんですが、歌詞をね、最近秋元康さんとか阿久悠さんとか、先達の方達の歌詞を見るようにしてて、直接的な影響は受けては無いんですけど、何か…その中で印象的な事があって。ドキュメンタリー見てたときに、やっぱり時代はどんどんスピードを増していくじゃないですか?情報化社会になり、何でも答えがスグ手に入るというか。その中で人間の歩むスピードもずいぶん速くなってきて、生活のスピードも速くなってきて、その…スピードを追い求めてる時代になってるなぁって。スピード重視な時代の中で、見落としてきた物っていっぱいあると思うんですよ。何か、新幹線移動してはるひとやったら景色も見ず仕事場に向かい、その中に感動できる景色があったのかも知れないし。結構仕事仕事な世の中の中で夫婦のすれ違いとかもあるんだろうし。それを取り戻しに行きたいなって。取り戻すこともこの時代の生き方の一つのような気がするっていう事を言ってて。凄くそれが自分にも重なって。事務所に入ってた時もそこに忘れてきた事とか見落として来た物があったんじゃないかなって。それをもっと探したいなって。だから両方に向かっていかないといけないなって。先に行く力と、過去に忘れてきた物を見付けにいく作業と。両方が凄い大事だなって、それがあってこの歌詞を書きました。

■M6.アンサーソング
●はい。ここから始まった感じですよね。
浦山:そうですね。曲作ってる中で一番最初に寺井が「これを最初に形にしたい」って。
寺井:あの興奮は今でも忘れないですね。
澤本:(笑)。
浦山:ただアレンジに関してはまだ固まって無かったですけど。我々たまにあるんですけど、アコースティックで演った時に、アコースティックからアレンジが変わっていくっていう。確かこれも最初はアルペジオで始まってたけど、何かリズム感が足りないなって話になって、それを足すためにギターでガーってやって、そこからそれがいいねって話になって。
寺井:曲録音する前に結構ライブで演って。アコースティックが多い時期で(笑)。それで大まかな曲のノリの方向性が決まりましたね。
浦山:4月5月とか。京都のアコースティックの野外フェスがあって、そのあたりからアレンジが変わって。で、ただそれだけじゃ物足りないなというところで、何か印象的なフレーズは無いかっていう事で、何か我々らしく声でやりたいなと。でも一番最初に言ったYMO的なちょっとエレクトリック的なんだけど、違うっていうニュアンスを出すために、声でやってみようかって。それで出来たのが最初の「パパパ・パッパ」です。あれは3人の声を貼り合わせてやってます。
●曲が出来たのはいつぐらい?
寺井:覚えてないですね。3月くらいやった気がするんですけど。引越ししたてだったと思うんですけど。しかも深夜やったから、全部裏声で。
浦山:そうそう、最初は裏声だったからキーの設定がおかしくて。めっちゃ高かったんですよ。裏声で歌ってる感じになっちゃって、歌詞の内容とか力強かったのにパワーが無くて。おかしいなって。で、アコースティックで寺井君がソロで歌ってたんです。
寺井:キー下げて。
澤本:こっちの方がええやんって。
浦山:こっちでええやんって。
寺井:そうとうショックやったんです。裏声を使いたかったのに。でもそのアイデアは違う曲に(笑)。
●はい(笑)。では歌詞について。
寺井:これももう、書きたいことは決まってたんで。悩む事もなく。見かたによっては、30代が夢見るなんてバカじゃないのって思う人もいると思うんですね。それも考えた上で、自分の事は違うなって。そこに生きる活力があるとすれば、そこなくしては生きていけない。って事ですかね。これが一番10年を意識した時に作った曲でもあって、これからどうするんだとか、続けるんだとか、何をやっていくんだとか。書いておきたかったですね。
●個人的にも節目になる曲?
寺井:10年の節目であり、2014年からの自分の姿勢を。だからこれは本当に、事務所離れる事とかなければ出来なかったですね。絶対に。そのままいても感じなかったと思うし。それがあったから、出来た。
●自分たちでやることになって、自分を見つめなおしたと。
寺井:まあ、見つめなおしたというか、見つめ直さざるを得なかったというか。嫌でも見なくちゃいけなかった。起こるべくして出来事は起こるなって。感じですかね。色んな出来事って人に何かを示してますよね。それを読み解けるのか読み解けないのかでずいぶん人生の過ごし方も変わるなって。自分の場合は事務所レーベル離脱事件が何を自分に示していたのかって。もう少し自分の中で考えを明確に持たなきゃいけない出来事だったのかも知れないし。その出来事を真剣に考えて、作った曲です。
●はい。「君」をそれぞれ聴く人の大事なものに置き換えれば、みんなの歌になるなと思いました。
寺井:ああ。僕にとっては人ではなくて音楽ですね。夢を見るのは自由だし、それを現実にするかしないかはその人次第で。

●一人ずつ、どんなミニアルバムになりましたか?
澤本:うーん、10年の想いと今の勢いが詰まったアルバムになったと思います。うん(笑)。簡潔に言うとそんな感じですね。
浦山:今まで、10年振り返るというのもありますけど、この先を見た、こっから先を見た覚悟の一枚だなという感じなので。いってみれば凄く主観的なアルバムになってると思うんですけど、でも、僕らが夢であったり、何かに置き換えてるものが、きっと聴いてくれる人の何かにも置き換えることが出来ると思うので、皆の道しるべというか、そういう物になるような、アルバムになったんじゃないかと、思います!
寺井:一人立ちっていうところですかね。一人立ちしていくアルバムじゃないですかね、ようやく。
●一人前になりました的な?
寺井:いや、一人前というか、バンドが一人立ちしていくというか、自分たちの中に何があるんだろう?って、ようやくそれをし始めた。どんだけ、自分から何が出てくるんだろうって、30年生きたからこその。それをやり始めた一枚目ですね。もっと自分の中から出てくる物を見たい。もっと見てみたい、自分の可能性とか。そういう意味で旗揚げのアルバムですね。自分を試してるアルバムでもあります。
●はい。今後の予定も教えてください。立ち上げたばかりでバタバタかもしれませんが。
浦山:はい。京都のインストジャムロックバンド、Lainy J Grooveのアイテムをリリースする予定になってます。紹介するバンドに負けないようになっていかないといけないので、我々も。プラス、レーベル主宰として思うことは、大々的なプロモーション活動が出来るわけでもないし、基本的にライブでやっていく事にはなるから、ライブを充実させていきたいなと。まだ詳細は決まってないですけど、ツアーも考えてて。今まで僕らはガッツリ回るツアーはした事がないので、今回アンサーソングでちょっと回りましたけど、ガッツリまわりたいなと。
●これからのLOVE3はガツガツいくぞと。
浦山:はい!
澤本:ドブネズミ根性で(笑)頑張ります!
●ありがとうございました。(TEXT&PHOTO:朝倉文江)

『Flag(フラグ)』
01. ステラ
02. Mr.グッド
03. HaTeNa
04. 君と僕の関係(その1)
05. Yesterday
06. アンサーソング
DDCZ-1913/1,600円(税込)
NutriaRecords
2013.11.13発売

LIVE SCHEDULE
LIVE自主企画『ねむれない’京’Tonight Vol.10』
2013年12月20日(金)京都MUSE
開場:18:30 / 開演 19:00 前売 ¥3,000 当日 ¥3,500(+1Drink)
共演:山中さわお / MONOBRIGHT
※一般発売11月09日(土)10:00より
■お問い合わせ
・清水音泉:06-6357-3666(平日12:00-17:00)
・プレイガイド
チケットぴあ/LOWSONチケット/LOWSON店頭 Loppi/e+/
KYOTO MUSE店頭/清水音泉 湯仲間直売所 ★その他イベントライブ有り。詳しい情報はこちらへ。 ■公式HP http://love3-web.com/