a flood of circle『GOLDEN TIME』インタビュー
INTERVIEW[2014.10.03]
●『KIDS』
佐々木:これは先行シングルで、「東北ライブハウス大作戦」に行った時に…バラードじゃなくて、あそこに行ったからこそスッゴイ景気の良い曲を作ろうと思って。もう一回ここに来た時にバカ騒ぎが出来るような曲を作りたかったんですよね。あそこに行った時に、何かどの街の人も…地元の人も働いてるし地元の人も見に来てくれると同時に元々は地元じゃない人達が持ち込んでるライブハウスへの「思い」だし、それを感じてその街に住んでない人達がライブを見に来たり沿岸部を見に来たりっていう事で、色んな気持ちが生まれる事に意味があると思ってるから。じゃあライブハウスに来た時に何をするかって言ったらやっぱり楽しい時間を共有するっていうのが一番良いんじゃないかなって。あそこで大人になっていった子供達がライブハウスを続けていってバンドもちゃんと生き続けて、その子達が大人になった時に、ちゃんとあそこが良い状態の街になってるっていうのが一番良いことだと思ったから、とにかく「子供達」っていうモチーフにしたかったんですよ。それが出来たあかつきに今シングル出して半年が経ってて、バカ騒ぎ出来る状況はライブで培ってきたから、それを早くもう一回、今度は石巻にツアーで行くんで、早く持って帰りたいなと思ってますね。この曲が結構、a flood of circleを色んな人と出会わせてくれた所があって。四国のフェスに出たときに『KIDS』をMVがTVで流れてるのを見て初めて好きになって来ましたっていう高校生くらいの子がいたりして。何か、ちょっと俺達頑張って来たんじゃない?って勘違いしてみたりして(笑)。
●(笑)。
佐々木:まあシングルは攻めの一手で、広げたくて出してる部分が凄くあるから、それがちゃんと伝わったのは凄く嬉しかったですね。今やっぱりライブでも一番大事な所に置いてますから。
●はい。「ばかになれ」って言い切る処も良いです。
佐々木:これは猪木イズムがある所ですね(笑)。
●あとドラがね、良いすね(笑)。
佐々木:ばかになれって書いた時点でドラだなって(笑)。ドラは俺、前からどっかで入れたかったんですよ。で、『KIDS』は最初ドラとか無くて、一通り出来た時に俺がプロデューサーの弥吉さんにドラ入れるのどうですか?って。「意味が分かんない!」って言われたんですけど(笑)。だって別に中華風の曲でも無いし(笑)。ただ、この曲のイントロが、さっき言った景気良さのイメージだったんで、何かパンチが欲しかったんですよね。で、まさかのMVもドラのイメージで中華風に撮れて。スタッフの悪ノリが(笑)。姐さんも楽しんでドラ叩いてますけど。俺このアルバムで一番良かったと思ってるのが、シングルに頼らなくて良かったっていうか。『KIDS』を4曲目以内に入れるとこの曲に頼った事になるなと思ってたんで。「『KIDS』さんちょっと後ろで構えといて下さい」って感じで前に良い曲詰められたからそれは良かったなって。9曲目の『KIDS』の安心感があるんですよ。堂々と後ろに居て下さい、若手が前で頑張ってますって(笑)。

●『アカネ』
佐々木:これもアニメの話があったんですけど、曲自体・メロディ自体は元々あって、「愛はいつでも見えぬまま」っていうラインは最初からあって。これも「東北ライブハウス大作戦」の時に浮かんでたやつですね。本当に弾き語りのサビのメロディしかなくて。メロディから作ろうと思っててその分歌詞に凄い時間かかりました。「ただいまおかえり」って言っちゃえるまでにね、これは「ボール」と「ゴール」と同じで、この曲に必要なのはこの言葉って分かってたんですけど、その言葉を言う勇気を持つまでに時間がかかった。それは覚悟を決めたポイントだったかも知れないですね。しかもアニメのタイアップで流れてたんで、コレ聴いて初めて家族と親戚が認識したみたいな所があります。亮ちゃん頑張ってるねって(笑)。
●亮ちゃんキタ(笑)。
佐々木:妹がこれ聴いて泣いたって言ってました。
●私もこれ泣きましたね。「ただいまおかえり」って本当に素晴らしい。
佐々木:ありがとうございます。あと「勝手に持ち出したレコード」って実は婆ちゃんが味噌汁作ってるときに『愛の賛歌』っていう越路吹雪さんの曲を、ずっと歌ってたから今でも凄い好きだし覚えてるんですけど、歌詞が今聴くとあまりにも情熱的なんですよ、婆ちゃんが歌うには。「貴方の燃える手で~」とか、それ幼心に思ってたんですけど、それがもっと心に来た瞬間があって。爺ちゃんが亡くなった時に、婆ちゃん大正生まれで88とかなんですけど、爺ちゃんの顔見ながら「私愛してたのよ」って婆ちゃんが言ったんです。それ聞いた時に、大正生まれの人間が「愛してた」なんて言うんだ!って俺凄い感動して。恋愛結婚が少ない時代だったからなのか婆ちゃんから爺ちゃんへの愛が凄かったって、あの味噌汁作りながら歌ってた感じが、あの人マジだったんだ!って(笑)。爺ちゃんが死んだ事よりもその感動の方がデカくて。それはなんかね、ずっと覚えてて、それでコレが書けたんですよ。
●なるほど。
佐々木:こないだ実家帰って、婆ちゃんぼんやりし始めちゃってるから戦争の話とか聞いとこうと思って色々聞いてたら、小さいアルバムを出してきて、信じられないぐらい爺ちゃんとベタベタな写真が出てくるんですよ。ボロボロの白黒写真なのに。俺のロマンティストの血はそこから来てるなって(笑)自分のルーツ確認しちゃいました。昔の人ってそんなのあんまり残さないじゃないですか。
●手を繋ぐのも人前では、みたいなね。
佐々木:そう、しかもそういうの自慢するとか無いじゃないですか。ちょっとクレイジーだな、婆ちゃん、って。佐々木家先祖代々の濃さで書いてます(笑)。うん、良い曲だなと思ってます。「ただいまおかえり」が、曲のイメージでは家に帰った時って思ってたけど、ツアーやった後はライブハウスに帰るときにも歌えるから、自分の中で意味が深まったんですよ。全ての街にただいまを言う権利があるから。

●そして最後にガツンとわっしょいな感じが。『Party!!!』と。
佐々木:あほみたいなタイトルの曲が。
●いやー、もうね、これ最高です。
佐々木:(笑)ありがとうございます。これは俺も想像してた以上のところまで来ました。『Party!!!』に関してはホーンを入れるとかコーラス入れるとか、また健太さんが鍵盤やってくれてて。そういう超ゴージャス曲にしたいっていうのはあったんですけど、この「Hey Hey Everybody」っていう「Everybody」なんて今まで言えなかったんでね(笑)。
●わはは(笑)。
佐々木:全員連れて行くっていう覚悟でやっぱ書けたのがデカかったですね。やっぱ今まで一対一の僕と君で書いてきたし、それで良いと思ってたし、その強さって絶対有ると思うから、ここまでの曲はそれで書ききってるんですけど、『Party!!!』は…野音をやったときの、椅子席だとまだ勝てない部分があるなって思ったとき、とにかく本当に今フラッドを好きになってくれてる人全員に良い景色見せるって思ったときの「Everybody」を言えるようになりたいなって。もちろん「君」って言葉で書いてはいるんですけど、「Hey Hey Everybody」っていうアホみたいな言葉をどうしても入れたかったんですよね。「Everybody」を自分で言えたのがデカかった。
●ちょっと気恥ずかしいような言葉も無理なく自然に言えてる、歌えてるっていう今のフラッドの立ち位置が凄く良いと思います。
佐々木:ありがとうございます。英語ずるいなと思うのは「YOU」って一人じゃなくて皆も指すじゃないですか?だから英語圏の人がMCで「YOU」って言ったら「皆」になるんだけど、日本語は君とか貴方とか急に狭くなっちゃうから。っていう意味をね、日本語なりの戦い方は無いかなって思ったときに、「Everybody」って(笑)逆に言っちゃう事によって、「君を愛してる」の意味が大きくなるんじゃないかなと思って。
●ああ、確かに。
佐々木:最初に「ハローララ 君を愛してる」っていうのもパッと見たときに意味が無さ過ぎて変えようかなって思ってたんですけど、ここは逆に弥吉さんとかメンバーも「ここが良いんじゃん!」って。
●そうそう、凄く良い。
佐々木:俺もそれに助けられました。「ああ、ここが良いんだ」って。『Party!!!』は色んな楽器も入ってるし自分のアイデアだけでは書けなかったって言うか。オサムさんのエンジニアリングとミックスと、弥吉さんのプロデュースワークと、超・豪華メンバーが揃ってて、メンバーも理解して曲が出来たので。これは何か、それがソングライティングしてデモで作ってた段階の10倍は良い曲になってると思いますね。俺もビックリした。
●じゃあレコーディングマジックが起こった。
佐々木:ですね。ギターソロも最初こんなに長くなくて、ギターソロ2段階あるんですけど、最初は交互に弾こうと思ってたんですよ、俺が弾いてDuran弾いてみたいな感じにしようと思ってたら、Duranのギターが良過ぎてお任せします!って(笑)。これは何か、a flood of circleの今のバンド感みたいな物が凄く出てると思います。豪華メンバーが揃った事によって、逆に4人の個性が凄く出てるなって。
●結構ディープな事も書いてるんだけど、それをあっけらかんと楽しく笑える感じがあるのが良いなと。
佐々木:うん、「夜はこれからさ」って思ってたいって言うか、さっきも言ったけど今までが暗闇だったとしても、これから楽しい夜が待ってるぜっていうのも、これから大きくなる子供たちにも言っておきたいと思うし、逆に俺達がKIDSな状態、子供な状態で「これから良くなる」と思って生きてないと、良い未来が来るわけないから。「夜はこれからさ」って言葉が今自分の中では人生のキーワードです。うん。

●はい、全曲紹介ありがとうございました。
佐々木:結構初めて言ったことありましたよ(笑)。
●ありがたい(笑)。では今後の予定とか、これから何やりたいとか教えて下さい。
佐々木:まずはツアーですね。やっぱDuran入って最初のツアーなんで、今めっちゃリハしてますけど。最高の対バンを用意してます。まだ発表できてない所も濃い面子が揃ってますんで。俺らにとっても修行ツアーでもあるし。
●わっしょいと言うよりはバトルって感じ?
佐々木:そうですね。あとメンバー間でもあると思うし(笑)。それを今楽しんでるんですよ。ナベちゃんもやっぱり今まで兄貴たちとやってきたところがあるから、引っ張ってきてもらった部分があるけど、やっぱり俺も第一線でいなくちゃって気持ちが出てきてると思うし。今回の作品はある程度流れの中で作ってきたのはあって『KIDS/アカネ』に関しては録り直してないし、そこにDuranが乗っかって来て奇跡の出会いがあって、『GOLDEN TIME』が出来ましたって所までやっと来たって感じだから。Duranと一からは次の作品になると思うんですね。だから俺今Duranと曲作りたいって話はスゲーしてるんですけど。多分次のa flood of circleは本領発揮みたいな、実はまだまだこれからあるぞっていうのがあるんで。だからツアーに関しては今見ておかないとソンするぞって思ってるし、CDも今買っておけば「私あの時から聴いてたから」って言えるって思ってるんで。『GOLDEN TIME』は黄金期という意味では一歩目だと思ってます。こっからa flood of circleピークくるぞと、夜はこれからだと思ってるから、そういうツアーにしたいと思ってます。そこは相変わらず求め続けて行こうと思ってますね。
●じゃあこれからのフラッドをお楽しみにと。
佐々木:そうですね。最強の4人が揃ったと思ってますんで。
●ありがとうございました。

(TEXT:朝倉文江/ライブ写真:Susie)


『GOLDEN TIME』
01. GO(Album ver.)
02. Golden Time
03. スカイウォーカー
04. STARS
05. ホットチョコレート
06. Cigarette Roll
07. Black Eye Blues
08. Rodeo Drive
09. KIDS
10. アカネ
11. Party!!!

CD
■DVD付き限定盤 
TECI-1422/3,300円(税別)
■通常盤
TECI-1423/2,800円(税別)
★初回プレス特典:スペシャル・ラバーバンド封入(通常盤 / DVD付き限定盤ともに)
Imperial Records/2014.11.05発売
LIVE SCHEDULE

Tour “Golden Time Rock’n'Roll Show”
2015.02.12(thu) 長野LIVE HOUSE J
2015.02.14(sat) 仙台CLUB JUNK BOX
2015.02.21(sat) 札幌CUBE GARDEN
2015.02.27(fri) 大阪BIG CAT
2015.02.28(sat) 名古屋ダイアモンドホール
2015.03.07(sat) 東京EX THEATER ROPPONGI
2015.03.08(sun) 東京EX THEATER ROPPONGI 
その他イベント出演多数

★詳しくは公式HPにて
■a flood of circle HP http://www.afloodofcircle.com/