マカロニえんぴつ『アルデンテ』インタビュー
INTERVIEW[2015.02.16]
●『幸せやそれに似たもの』
はっとり:これはもう、フラれ唄ですね。メロディと言葉が、出だしの「よれたシャツの」ってフレーズから一緒に出てきて、自分でも「お!」って思って。うん。
●もう、ド頭からエモいっていう。
はっとり:そうなんですよ!『零色』出す前は、これがマカロニえんぴつと言えば、みたいな曲だったんですよ。仲間のバンドマンとかからはサビで茶化されたりとかしてて(笑)。これは本当に若いですね、歌詞が。でも、グッと来るかなって、聴く人は。2番のサビとかも、人物像が見える曲ですよねって言うか、見せたいなって言うか。ストーリーを。「これ実体験なの?」ってよく聞かれるんですけど、そこは想像に任せるよって言って…逃げるんですけど(笑)。
●わはは(笑)。
はっとり:(笑)強いて言うなら、半分実体験・半分味付けかなって。この曲は思い出深いと言うか、結構長い事演ってる曲なので…ライブでもそんなに気張らないで出来るし、一番感情を…う~ん、考えずに唄えるし、自然に歌える曲ですね。慣れもあるとは思うんですけど、うん、情けない唄、です。

●5曲目『なんだったっけ』、これは初期からあったという。
はっとり:これ、マカロニえんぴつの最初の曲かも。バンドを組む時に、最初に声をかけたドラムのサティに「こういう曲を俺はやるんだよ」って、デモ音源渡したんですけど、それがこの曲でした。だから本当にこれが最初の曲です。大学1年の時の歌詞なんで、今とはだいぶ年が経つので、何か、何でそんなに逆ギレしてんの?って(笑)。
●ああ(笑)。
はっとり:なんかこう(笑)、今ちゃんと読むと恥ずかしいかも知んないっす(笑)。唄ってるとそんなことないんですけど。これも若いなっていう感じですね。でも本当に何も考えて無いなって所で、素直な歌詞です。これもちょっと『零色』をポップにした感じですかね、歌詞の世界観で言うと。新しい環境とかに馴染めないなって人が抱えてる何か、息苦しさみたいなものを唄った歌ですね。だから『零色』ほど困って無いんですけど、近い感情、ベクトルは近いかも知んない。で、「こんな自分じゃイカンな」っていう、意味も込めつつ、「そういう人他に居ない?」っていう、だから「君だってそうでしょ」って。これ俺だけ?俺だけ?って投げやりな、仲間が欲しい感じで。
●じゃあ近い感情の内向きと外向き?
はっとり:ああ、そうですね。うん、エピソードとしては、一番古い曲。

●では最後『あこがれ』
はっとり:これは割りと最近、の。どこから作ったかな…あ、これイントロから作りましたね、意外にも。イントロ出来て、サビ出来て、AメロBメロ、かな。これもメロディが先にあって、歌詞が後です。メロディが先に出来てる時は自分のデモを聴きながら考えるんですけど、なんか…物凄くサビの入りがパワフルなので、そん時こう、自分の歌ってる原動力を、そのまま唄にしようと思ったんです。このパワーはどっから来るのか?って考えた時に、多分「あこがれ」があるから俺は歌っていられるんだなって。凄く基本的なところに気付いたので、じゃあそのまま唄にしちゃおうって、タイトルもそのままだし。自分の憧れてる人を思い浮かべながら。本当にドストレートに書きましたね。
●はっとりさんが憧れに後押しされた経験があったって事ですね。
はっとり:もう、ありまくりです。僕は、これは色んな処で言ってるんですけど、奥田民生さんに憧れてギターを持ったしバンドも始めたんですよ。奥田さんというか、ユニコーンに憧れて。凄く蛇足になるんですけど、僕の「はっとり」って名前もユニコーンのアルバム名から取ってるあだ名で。
●えー!
はっとり:良いですね、リアクション(笑)。誰に言ってもこのリアクション気持ち良いですね(笑)。という、ぐらいの、ファンで。それまで音楽もやってなかったし、でも音楽をやろう、この先ずっと音楽をやっていきたい、って思えた、インパクトが凄かったもので。けど、「奥田民生チルドレン」って多いんですよ。若い世代でも多くて。
●そうなんですね。でも世代的には復活後、とかですよね。
はっとり:ユニコーンのリアルタイムでは無かったですけど、奥田民生さんをリアルタイムで見て、好きで唄ってる人が同世代でも多くて。でも共通点としては唄真似が多くて、それってあんまり良くないなって俺は思ってて。どうせその人にはなれないんだから、追いかけるんじゃなくて、自分の違う道で違う個性を探そうっていう、ので、この歌詞なんです。「追いかけてるんじゃない 探してるんだ」っていうのが一番言いたいメッセージだったりして。だから、そこを踏み間違えるなよって、自分に釘刺してる歌でもあるんですけど。憧れ続けなくちゃ生きて行けないし、憧れが原動力なんだけど、絶対違う方向で花を咲かせてやろう、って。
●そうすると最後の2行がまた効いてきますね。
はっとり:そうですね。うん。全ての、憧れを抱いている人に、聴いて、グッと来てもらいたいなっていう、思いです。

●これからリリースツアーですね。ライブに対する意気込みなど教えて下さい。
はっとり:音源はいじれるけどライブはいじれないじゃないですか?編集がきかない、嘘がつけない。そこが一番の魅力だと思ってて、ライブの。来てくれた人と一番近くで歌える・鳴らせる「場」なので、やっぱりお客さんとは一体になりたいなって思ってますね。ただ、あまり今まで…全国盤出すまで、お客さんがバーって入るバンドでも無いので、だからこれから、「マカロニえんぴつ」のファンしか居ないライブハウスでお客さんと一緒にその空間を楽しみたいなっていう気持ちも強いですね。うん、そこに居る全員に届かせたいし、凄く近くに来て欲しいというか。まだまだこれからなんですけど。聴かせる曲は聴かせたいし、乗る曲は乗らせたいし。その場しのぎのライブはあんまり好きじゃなくて、中身が欲しいんですよね。中身があって尚且つ乗れたら素晴らしいと思うし。見終わった後に、見る前と違う気持ちで家に帰って欲しいというのはあります。でも今はまだ僕らを知らない人が多いので、知らない人にも携帯をいじる隙を与えない勢いと言うか、届けたいっていう思いは凄く強いです。だからツアーは、音源をちゃんと買って聴いてくれてライブに来てくれる人が多くなってくると思うので、『ワンドリンク別』とか『鳴らせ』で乗ってくれると嬉しいな(笑)。
●そこは俺が乗らせてやるって言ってくれないと(笑)。
はっとり:乗らせますよ!(笑)。そうなって欲しいし、そうさせます!
●では読者に向けてメッセージを。
はっとり:この『アルデンテ』は噛み応え抜群です。ちょっと硬すぎる曲とか、逆に咀嚼無しでもツルっといける曲とか、色々アンバランスなようで、でもこの6曲だから成り立ってたりして。本当に聴き込んで欲しい一枚になってるので、たくさん聴いて欲しいです。それで、自分の中でそれぞれの明日を変えていく答えにちょっとでも結びついたら、本当に嬉しいし、更にライブに来てくれたらもっと嬉しいです。一緒に、楽しみましょう!そして、マカロッカーがどんどん増えていくと良いなと思ってます。
●まかろっかー?
はっとり:マカロッカーって言うんです、マカロニえんぴつのファンのこと。使ってください(笑)。良い音楽をやっている自信がとてもあるので、僕の音楽を良いと思ってくれるマカロッカー達を大事にしたいと思ってるし、ずっと付いてきて欲しいって思うので、バンドとして最初のツアーになるわけだし、僕らの最初を見に来て欲しいです。期待を十分にして欲しいです。それを良い意味で裏切っていきたいと思ってます。アルデンテ!
●ありがとうございました。
(文:朝倉文江/ライブ写真:小川愛晃)


『アルデンテ』
01. 鳴らせ
02. ワンドリンク別
03. 零色
04. 幸せやそれに似たもの
05. なんだったっけ
06. あこがれ

CD
DLCR-15011 / 1,200円(税別)
2015.1.21発売
LIVE SCHEDULE

マカロックツアーvol.1 ~鳴らし廻り~
2015年3月30日 名古屋 池下 CLUB UPSET
2015年3月31日 大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
2015年4月08日 東京 下北沢 SHELTER
※全公演対バンあり。
その他イベント出演いろいろあり!


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■公式HP http://macarock.wix.com/home