ラッキーオールドサン 『ラッキーオールドサン』インタビュー
INTERVIEW[2015.08.21]
●曲作りの事を。篠原さんはどういう風に曲を作りますか?
篠原:曲作りは高校の時から始まってるんですけど、何か、曲を作る為にギターを買ったところがあって。だからギターで作ることが一番多いですね。多作なんですけど…歌詞とメロディが同時に出る時があるんですけど、残るのはそういう曲ですね。考えて作った曲あんまり残らないっていうか。アレンジとかになってくると、最終的なイメージで映像みたいなものがあって、それに寄せていくっていう感じですね。
●曲を作る為にギターがあるっていう事ですけど、楽器を触ってる時にしか曲が出来ないのか、頭の中にある物を落とすためにギターがあるのか。
篠原:あー。…その時々にもよると思うんですけど…最初のイメージは映像であったりしたりするのかも知れないけど、やっぱりギター持ってる時ですね。ずっと弾いてる時にそれが形になってきて、それが面白いっていうか。歌詞とかは、やっぱり自分のど真ん中にくる言葉があったりするんで。
●ど真ん中の言葉?
篠原:なんか、捻って作るような物は作りたくないっていうか。言葉のフックってリズムとかあると思うんですけど、それが心地良い物を選ぶっていうか。そんなに考えすぎては無いですけど、ちょっと念頭に置いてると思います。
●曲の元になるものが生まれる時は?
篠原:24時間体制でずーっとやり続けて作って壊してってやってる内に出来るっていうのが一番ベストで。いつが多いって無いですね、全てが延長線上にあるので。そういうモードに入ってるときは、僕ずっと歌詞の事とか曲とか考えながら歩いたりしてるから。他の事やってなかったりするし。突然パッと思いつくのは無いかもしれない。
●その24時間体制モードのスイッチが入るのは?
篠原:ぶっちゃけ24時間(笑)。本当にこれかっこつけてるわけじゃなくて、毎日、基本的に音楽以外のことはあんまり考えてない。今日ココに来るまでの間にずっと歌詞考えてたし。ずーっとやってる感じ。そこから抜ける時ってあんまり無いかも知れない。だから音楽やってないときは白紙みたいな、時間が存在してない(笑)。
●(笑)。歌詞を書く中で大事にしてる事は?
篠原:そうですね、ラッキーオールドサンに関して言えば、一人称が出てこないんですよ。全曲。ここに書いてある曲の7割くらいは無意識にそうなってて。残りの3割くらいは意識的に排除して。気付いたらそういう感じなのかなって。あとはシンプルな作りを。基本的に引き算で考えてるので。曲作りもそうなんですけど。
●漢字の開きとかも意識して?ひらがなと漢字のバランスとか。
篠原:あんまり意味として考えてなくて、視覚的に考えてて、ここは「ひらがな」が良いなとか。視覚的に、歌詞を眺めた時に。漢字だと堅い時はひらがなにしてます。あんまり意識はしてないですけど、使い古された言葉が好きなんですよ。例えば「 it's gonna be alright」とか、皆使ってるじゃないですか?(笑)。「boys don't cry」とかも、よく使われるし。「人の世は住みにくい」とかも夏目漱石からなんですけど。ポピュラーなところから拝借するのが凄く好きなんで。でも「誰から歌詞の影響を受けて」っていうのは無いと思います。多分ナナさんも無いと思います。
●ではナナさんの曲作りについて教えてください。その「箔」から曲作りを始めたんですか?
ナナ:そのバンドでは曲作りはしてないんですけど…私もギターで作ってて、あんまり難しいことを考えながらやりたくないから、特に考えずに作ってます。歌詞は弾きながら、メロディと一緒に出てくる事が多いんですけど、本当に、曲を作ろうってなって作るよりも、ギターを弾いてたら、出来てくるっていう感じです。
●あ、キーボードの他にギターもやってたって事ですか?
ナナ:そうです。簡単なコードしか自分が分からないから、知ってるコードで弾きながら出来てくる感じです。何も考えずに弾いてると何か、鼻歌?みたいなのが出てきて。一緒に歌詞が出てきて、出来ることが多いんだと思います。
●はい。凄く自然体な感じなんですね。
ナナ:あんまり考えながらとか出来なくて。それが出来たらまた面白いのかも知れないですけど。今はそういうやり方でやってます。
●曲が出来てから歌詞が固まる?
ナナ:ほぼ同時ですね。
●曲作るぞ、じゃなくて、何となしに弾いてると出来る?
ナナ:はい。ただ何となく、ギターを弾いている時間があって、それで出来たりすることが多いですね。割と時間はあるので、普通に家に居る時間があるとギター弾いてます。そういうときに曲が出来ますね。
●じゃあお家に居る時に曲作りする事になる?
ナナ:はい。夜にギターを弾いていることが多いんですけど、でも、出来た!って思うのは…あんまバラバラですけど、昼のほうが多いのかな。多分。
●曲の元から、完成形にするまでの間で、曲の方向性とかどのあたりで決まるのかな、とか。
ナナ:うーんと…ギターを弾いてて、メロディと一緒に降りてくる言葉があって、その最初に出てきた言葉を基にして、何か、全体の歌詞っていうか、他の歌詞が出てくる、ことが多いです。
●言葉遣いで大事にしていることはありますか?
ナナ:難しい言葉は使いたくなくて、わかりやすい歌詞が好きなので、それは多分選び方とか、あるのかなと。
●お2人とも歌詞の言葉の広がりが素敵だなと思ってたんですが、感覚が先行って事なんですね。
篠原:そうですね。
ナナ:ふふ(笑)。
●はい、あと曲のクレジットを見ると、おのおのが作詞作曲になってますが、共作はされないんですか?
篠原:共作…。
ナナ:試みたことはあるんですけど。
篠原:難しいですよね。なんか、何からどう始めたら良いのか(笑)凄く難しい。全然やってみても良いんですけど、出来てないですね、今のところ(笑)。出来たらそのまま採用しちゃうかも知れないけど。意図して共作を排除してるわけじゃないので。
●そうなんですね。じゃあそれはこれからあるかどうかって事で。デュオだと音楽活動はどんなペースでされてるんでしょうか?バンドとちょっと違ったりしますか?リハとか。
篠原:あー。練習…。
ナナ:練習(笑)。
篠原:あんまりやんない(笑)ですね。言って良いのかどうか(笑)。でも合わせるっていうのは大事なことだと思うんで、曲の練習をやらなくても、ギター弾いて唄うみたいな。別に細かく練習するっていう意識が無い中で、自然とやってるとは思うんですよ。何らかの形で。会った時ギター持ってればやる(笑)くらいの。
●緩いですね(笑)。ほんわかする(笑)。
篠原:(笑)勿論ライブの前とかは当然練習しますけど(笑)。でも定期的に何曜日に入ってとかは無いですね。それでも毎回色んな事を試していて、スタジオ入ったときは一回一回、割りと密度が濃いですね。次はこういう形でやってみよう、こういうアレンジしてみよう、とかは試して。それで最近ようやく、先週ぐらいのライブで
ナナ:ふふ(笑)。
篠原:僕ら何か掴んだなっていう感じがあって。それまでずっと模索してきたんで。ちょっと見えたような気がします。
●ライブはあんまり数を入れてないんですか?
篠原:今は毎週どっかでやってる感じです。意外とやってます(笑)。でも毎回やってる事が違って。
ナナ:編成が毎回違う(笑)。
篠原:そう、編成も違うし、僕がギター弾く時もあればナナさんがキーボード弾く時もあるし、何にも弾かないで歌だけとか、毎回変わってて。ベースレスでビートハプニングみたいな、アメリカの90年代のインディぽいやつとか、そういうのも試してたり、ガラッと変えて超ノイジーにしたり(笑)。色んな事やってて。探ってる感じだったんですよね、なにぶん結成してからまだ一年半くらいなので。だから最近ようやくちょっと見えてきたくらいで。ずーっと模索、毎回違う(笑)。
ナナ:ふふふ(笑)。
●はい。あんまりリハには入らないという事で、最初の曲の聴かせあいとかはデータでやり取り?会った時に弾いて聴かせあう?
篠原:あ、僕はデモ送りますね。ナナさんは録音機材が無いので、普通に携帯で録ったやつとかを送って貰ってっていう。僕はわりと最初から作りこんで送ったりするんですけど。
●アレンジもお互いで固めて?
篠原:あ、それはラッキーオールドサンとしてアレンジを変えたりします。もっと言うと、関わる人によって変えたり。自分達が考えるイメージに近い人を選んで、尚且つそれでその人達と演ってみて、こうかなこうかなって変えたり。でも関わる人に関しては厳しいかも(笑)知れないです。…参加していただいてるHara Kazutoshiさんとか尊敬してるんですけど、お願いします!って言って、やってもらって、全然容赦なく「いや、それじゃないです!」って言っちゃう(笑)。
ナナ:(笑)。
●(笑)アレンジはどなたがメインで?
ナナ:篠原さん。私はアレンジとか、まだよく分からなくて。
篠原:でも、当然、話はして、「僕」がこうしたい・こうする、じゃなくて、こういう風にしたいけどってナナさんに聞くし、やってみてちょっと何か違うってなると、そこからまた考えるし。ナナさんは感覚的な所が鋭いんで、最後悩んだらやっぱりナナさんの感性を信じるところはあると思います。