ラッキーオールドサン 『ラッキーオールドサン』インタビュー
INTERVIEW[2015.08.21]
●では一曲ずつ曲についてのコメントをお願いします。1曲目『魔法のことば』から。
篠原:夏の聖蹟桜ヶ丘にぴったし合う曲ですね。京王線とか、坂とか。
●聖蹟桜ヶ丘がテーマって書いてあったんですけど、それしばりで作ったんですか?
篠原:いや、全く無いですね。それも、テーマっていうか、曲自体はそう思って作ったものじゃないんです。ただ、最終的にお皿として聖蹟桜ヶ丘がベストだったっていう。でも「魔法のことば」はそれに一番ピッタリだと思うんですよね。この曲によって「聖蹟桜ヶ丘」が出てきたっていう、そういう曲ですね。
●ちなみにラッキーオールドサンと聖蹟桜ヶ丘の関係は?
篠原:坂の上から色んなものが眺められる所なんですけど、そこで音楽の話とかを色々した場所で。割と…人生の話とか(笑)、音楽どうしようか、どういう風にやっていこうかとか。
●大事な場所だったんですね。
篠原:そうですね。アルバムの最初に相応しい、オープニングに相応しいような曲だと思います。
ナナ:私は、うーん…この曲が出来たのも夏なので、聖蹟桜ヶ丘の夏の歌だと思います。楽しい気持ちで唄ってます。駄目ですか?どうしよう!コメント難しいですね。
篠原:じゃあ今度は悲しい気持ちで唄ってみるとか。
ナナ:やだ(笑)。楽しい気持ちで歌ってます。
●はい(笑)。歌詞の「千年旅する民」っていうのは。
篠原:ヤバイな。歌詞一個一個見ていくって怖いな(笑)。うーん…でも遊牧民のイメージかも知れないです。特定の民族的な意味は無くて、小説を書くような気分でこの一説を書いたので。僕が歌詞を書く時は映像のイメージがあるんで、特定の何かを言いたいというよりはもっとザックリしたイメージなんですよね。変な話、小説とかでも本当に言いたい事って少ししかないと思うし、だからアルバム通して言いたい事は多分一個くらい。もっと言うと僕が書く曲は言いたい事が一個くらいで、それを一言で言えるんだったら苦労はしないかなって。
●言いたい一言のイメージはあるんですか?
篠原:あります。それは言葉で中々言えないんですけど、肯定的な事を言いたいというか。なんか、「it's gonna be alright」とか、それぐらいの事って言うか。大丈夫っていう。僕の中ではそういうのが報われるっていうのが目指してるのはあるんで。なので、それを言う為にも色んな周りのイメージとかを言葉にしていく必要があって、そうなるとこれが出てきたっていう事です。

●2曲目『坂の多い街と退屈』
篠原:これは歳を取っていく、変わってくっていう事を楽しむって言うか、そういう意味を込めて。何か、歳を取るって不安なことって言うか、死に向かっていくわけじゃないですか?それに対して、時には怯えであったり、不安が付き纏うと思うんですけど、僕らは学生を卒業するし、変化していくっていう事を受け入れるっていうか。それは決して悪いことだけじゃないっていう。色んな人にも会えるし、色んなものを見る事が出来るし、意外と楽しんじゃないか・楽しもうぜっていう意味を込めてる曲です。
●これはいつぐらいに作ったんですか?
篠原:いつぐらいだっけ。
ナナ:秋?
篠原:秋だっけ?全く覚えてないな(笑)。
ナナ:去年の秋。
篠原:自分が変わっていく時期っていうのもちょっとあったのかな。ちなみにこの曲はコード進行がサビもAメロも全部一緒です。つまり変化が全く無い曲です(笑)実は。
●あー、変化が無いのに変化を恐れるなって歌ってるんですね。
篠原:ははは(笑)。自分で言うのもなんですけど、意外と飽きないんですよね、同じ事やってても。意外と飽きない、面白いっていう。変化を楽しもうぜっていう曲です。
ナナ:これは、おじいちゃんおばあちゃんになっても、歌い続けたい歌、です。
●この曲はお2人で歌ってますが、歌い分けとかは。
篠原:基本的に僕はあんまり歌いたくはないんです。基本的には。ただ、2人で演るとパターン的にどうしても音楽的につまんないっていう事はあるので、それでどうしても仕方なしに…って所が最初なんですよ。でもこの曲は最初から、ここは僕が歌いたいなって思ってて。男の子が歌うなら僕が歌いたいなって、それぐらいですけど。ゲストボーカルを入れようかって話もあったんですけど。
●えー。篠原さんでよかったです。
篠原:ああ(笑)。

●3曲目『二十一世紀』
篠原:これは、ラッキーオールドサンの、最初期からやってる曲の一つで、一番最初の自主盤にも入ってる曲です。初期ラッキーオールドサン・テーマ曲。と、僕は思ってます。サビはそういうイメージですね。
●いいサビですよね。気が楽になります(笑)。
篠原:ありがとうございます(笑)。
●歌詞で「二十一センチの刃渡り」ってありますが、これは?
篠原:これは太宰治で、『二十世紀旗手』でしたっけ?…そう考えると結構引用してるな(笑)。「人の世は住みにくい」は漱石だし。そんなに読んでないのに。
●これナイフ?って思ってちょっとドキッとしたんですよ。
篠原:うん、僕は個人的にナナさんがこれ歌うのは面白いなって(笑)。
ナナ:あはは(笑)。
●歌わせたかった?
篠原:ちょっとあるかも知れない(笑)。
ナナ:面白い歌詞だなと思って。でもあんまり、怖くならないように、あんまり考えてないですけど。面白い歌詞だけど。
●ちなみにナナさんは歌詞について篠原さんに説明を求めたりは?
ナナ:あんまり、知らなくっても、それはそれで良いのかなって。んー、あんまり説明は欲しくないかなって思って、そのまんま、歌詞のまま、ですね。でも割と好きだって言ってくれる人が多いので。いい曲だと思います。ハイ。

●では4曲目『何も決まってない』
ナナ:これは、私が初めて作った曲で、初めて他人にと言うか、篠原さんに聴いてもらった曲でもあるので、一番思い入れはある曲です。はい。
●これはどこから出来たんですか?
ナナ:一番最初のところから。
●あ、結構頭からストーリーを繋げていくタイプですか?
ナナ:あ、それはバラバラで、全然違うところからもあるし、決まってないですね。
●これも坂から見下ろすっていうシーンがありますね。
ナナ:これは聖蹟桜ヶ丘とかいく前に出来てる曲なので、偶然なんですけど。これは地元のイメージかな。うん、地元です。本当に水色の髪の人が歩いてて。
篠原:そうなんだ?僕も初めて聞きました(笑)。
ナナ:そう、歩いてて、うん、本当の歌。
●水色の髪(笑)。アニメ的な。
ナナ:そういう感じの人が歩いてたのかも知れない(笑)。
篠原:ちなみに、この「なにもきまってない」っていうタイトルは、最初無かったんですよ。携帯で録ったデモを送ってもらったんですけど、タイトルが何も決まってないっていう意味でナナさんはこれを送ってきたんです。
ナナ:(笑)。
篠原:それを僕が勘違いして、「なにもきまってない」っていう曲良いねって、そのままタイトルになったっていう。
ナナ:あはは(笑)。
篠原:単純に勘違いして。本当に何も決まってなかった(笑)。

●5曲目は『Have a nice day!』
篠原:これは架空の街のイメージ、頭の中の映像で真昼の月が見下ろす街で飛行船が浮かぶってあって。ただひたすらイメージ先行で作ってる曲で。「忘れたくても忘れられない 忘れなくてもいいのさ~」は、ある意味ロックスターとか(笑)憧れの人の事を歌ってますね。「Have a nice day!」って言葉も凄く好きで、これも使い古された言葉なんですけど、凄い良いなって、前向きな言葉で。これは僕のイメージの中にあった街を書いてみた。飛び出してる感が凄いイメージであって(笑)。そういう歌です。開放感、かな。
ナナ:これは確かに開放感のある曲、で。何かメロディも楽しいし、うん。パーって言う開放感がある曲だと思います。

●6曲目『街』
ナナ:これは、わたし、自分が住んでる街があんまり好きじゃなくて。多分夜1人で歩いて、散歩してて、いつかこの街を出ることを考えた時に、出来た曲です。忘れないように。うん、そういうのが歌詞に出てるんだと思います。
篠原:これは、アレンジが2パターンあって、自主盤でやったものと、今回のアルバムに入っている物とガラッと違うんです。ギターのリズムが全く違う感じで、元々は「なにもきまってない」とかに近いパターンだったんですけど。今回はブルースとか、ちょっと土臭い感じの音楽にちょっと接近して。
●じゃあ自主盤を持ってる人は聴き比べも出来ますね。
篠原:そうですね。
ナナ:全然違う。
篠原:自分が聴いても面白いと思います。


●7曲目『いつも何度でも』
ナナ:これは、ここのフレーズ(歌詞の「まだ移れない次の街」を指差しながら)だけ、最初にあった曲で。というかこのフレーズしかなくて、最初は。そのフレーズのところだけ篠原さんに聴かせた時に…なんか、色々2人で…作ってくれて、曲として。
篠原:ああー。一番、共作に近いですね。共作ではないんですけど、最終的にはナナさんが作ってるんで。あんまり僕のアイデアは採用されてなくて(笑)。
ナナ:(笑)。
篠原:そうだよね(笑)。これはコード進行?
ナナ:あ、そうそう。基にして。で、これなんか、録音するっていう時に、音を色々入れて、何か、だいぶイメージが変わって、だからアレンジで面白くなったのかなって。
●先の『街』と『いつも何度でも』ではどっちが先に出来てるんですか?
ナナ:『街』です。あ、でもこれは「街」とは違う、地元とは違う街ですね。
●ああ、そうなんですね。関連してるかと勝手に思っちゃってました。
篠原:僕が言うとしたら、これはアレンジで面白くなって、アレンジするまでは、そんなに前に出る曲じゃ無かったけど、「いつも何度でも」って繰返したあとに色んな音が入ってきて、一気にアルバムの中で化けた曲って言うか、一番変化があった曲かもしれないですね。

●8曲目『ミッドナイト・バス』
篠原:これは(笑)。
●あれ?何でイキナリ笑うんですか?(笑)
篠原:いや、これは自分の中でデカイ曲です。これが出来たって事で、自分の音楽史的意味でも、いい仕事したな~って(笑)。これ出来た時に、ナナさんに聞かせる前から、「スゲー良い曲出来た」って自分でもハードルを上げたくらいで(笑)。あの時、その時にしか書けない曲なんで…とりわけこれを書けたっいうのは誇りで。今その、打ち込みしたりする時に、『みっど~』を偶然再生した時に、自分が救われたりするんです。あの時の自分が、今の自分を後押ししてくれたりするっていう。この曲は本当に書けて良かったなって。言葉では言い表せないくらい、凄く大事な曲になった気がします。
●自分も応援してくれるような曲?
篠原:そうですね。色んな、迷ったり悩んだりしてる人の、背中後押しするような曲になれば良いなって思ってるし、自分自身もこれに救われてる。「もっともっと光へと行け」、本当にそのまんまで、思い入れの強い曲ですね。
●はい。凄く良い曲だと思います。ナナさん、歌ってみてどうですか?
ナナ:これは、最初この曲が出来たっていう時に、私はまだ聴いた事がない段階で、篠原さんが(笑)、これはヤバイって言って(笑)凄いハードルを上げてて。どんな曲なんだろうって思って、いざ聴かせて貰ったら、本当に…良い曲だったから…凄いなと思って。…これが歌えるのは、…うん、私にとっても大事な曲です。うん、もっと言葉にすると違ってしまいそうなので。本当に良い曲。はい。

●では最後ですね。「しん」
ナナ:これは(笑)、タイトルはこの曲が出来て、篠原さんにデモ録って送ろうってなった時に、私はタイトルっていつも最後に付けるんですけど、この時も、送ろうって時に新曲の「新」って意味でそのまま「しん」で、
篠原:あっそれ言っちゃう?
ナナ:…あの、「しん」って色んな意味がありますよね!
●あはは(笑)。変えた!(笑)
全員:(笑)。
篠原:余白を残しといたほうがって思ったけど、面白いからいいか(笑)。
ナナ:あんまり喋りすぎるのも(笑)。この曲は、歌詞そのまんまであんまり、言いたい事は無いです。
篠原:変な話、この歌詞を読んで、「しん」って、タイトル意味分かんないですけど、もう「しん」以外ありえないんですよね。自分も最初は意味何だろうって思ったんですけど、意味わかんないけど説得力があるタイトルだし、なんか…うん。このアルバムのエンドロール、です。
ナナ:はい。そうなんです。
●はい、曲を書いたときのことは覚えてますか?
ナナ:これ、多分…アルバムの中で一番最後に出来た曲で、うん。本当にこれはこのまんま、です。
篠原:どの曲もそのまんまだけどね(笑)。
ナナ:はい。そう(笑)。
●基本的にナナさんはそのままの素直な気持ちを歌ってる?
ナナ:はい、嘘は無いです。

●ではこのアルバムを作り上げた気持ちを教えてください。
篠原:自分は、この時にしか書けないものを書いてるし、それをこういう形でちゃんとパッケージ出来たって言うのは、それがまず幸せな事だと思うし。かつ、セルフタイトルが付いてるように、これは、あくまでもラッキーオールドサンの一番最初、第一章っていう、始まりに過ぎないと思っていて。むしろこっから僕らがどういう作品を出して行けるかって言うのが凄く大事だと思ってます。ここから更に面白いことを全部やっていくって僕らは考えているので、その一番最初の自己紹介でもある。同時に僕らの第一章の始まりと、終わりでもあるし。だからこっから「さあ、次は何をしようか?」って、ワクワクしている状態なんです。だからそういう処も含めて、今悩んでる人とか、ちょっと腰が重たくなってる人とか、そういう人は是非聴いてもらって、まだやりたい事あるなとか、無いなら無いでまた探してみようかなって思うきっかけになれば、僕らとしては本当に嬉しいことで。僕ら自身も今模索しながら次を探してるし。一緒に、頑張りましょう(笑)みたいな。色々やってみましょう、やりたい事を全部やろうって。あんまり変わっていく事とか歳を取る事を恐れないで欲しいという思いを込めてます。
●ではナナさん。
ナナ:はい。これはその作った当時しか出来なかった、その時の自分達しか出来なかった作品で、これと同じ鮮度のものをもう一度、今作るってなったら、それはきっと凄く大変で。これは本当に…その時の自分達のせいいっぱいの物が詰まっていて、だからタイトルが『ラッキーオールドサン』でもあると思うんですけど。うん、その時にしか出来ないことをやれたって言うのは、凄い、良かったなって思ってます。いくつ歳を取っても、皆さんに聴いて貰える作品であって欲しい。はい。
篠原:もし、付け加えられるなら、次のアルバムはこれを易々と超えられるくらいの物が出来ると思うので。僕は全然これでは足りないので。以上です。
●ありがとうございます。では今後の予定を。
篠原:あ、レコ発があります。
ナナ:9月の27日にレコ発があります。新代田FEVERです。
●はい。その先の希望とか野望とかは?
篠原:さっき言った事なんですけど、僕らは既に、自分達のマインドとしては次の物を作りたいっていう、次のステージに入ってるんで。もう次の構想とか、もっと言えばその次まであるので。やりたい事は全部やるつもりです。それが野望といえば野望です。もし良かったら楽しみにしてもらえたらなって思います。
ナナ:はい。
●ありがとうございました。

(文・写真:朝倉文江)


『ラッキーオールドサン』
01. 魔法のことば
02. 坂の多い街と退屈
03. 二十一世紀
04. 何も決まってない
05. Have a nice day!
06. 街
07. いつも何度でも
08. ミッドナイト・バス
09. しん

CD
ARTKT-007 / 2,160円(tax in)
2015.7.15発売
LIVE SCHEDULE
『SaToA & she said "ROLLER GIRLS" TOUR』
・8/22(土) 名古屋・鶴舞KDハポン
SaToA、she said、Homecomings、ラッキーオールドサン
開場17:30 開演18:00
前売¥2000 当日¥2500(+1drink)

・8/23(日) 東京・下北沢Daisy Bar
SaToA、she said、Homecomings、ラッキーオールドサン
開演18:00
前売¥2000 当日¥2500(+1drink)

『Summer Shere』
・8/30(日)
下北沢THREE or 下北沢BASEMENT BAR
http://summer-share2015.tumblr.com/

『MACHIKADO FES. 2015』
・9/20(日)
群馬@小平の里
http://machifes.tumblr.com/

『ラッキーオールドサン first full album RELEASE PARTY』
・9/27(日)
新代田 FEVER


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