LOVE LOVE LOVE 『HEART BEAT』インタビュー
INTERVIEW[2015.10.14]
●『Musication』
寺井:これは…あ、これもフジタユウスケ君の影響強いかもしれない(苦笑)。彼と演った事で、古めのロックな感じがまた好きになって、KINKSとかThe Whoとかああいう感じの曲を作れたらなって。
●ルーツロックのテイストとか。
寺井:はい。だからこれはギターリフから作ったんです。まずギターリフから考えなくちゃって、ああいう時代の曲はまずリフだろ!って思ってたから(笑)。ただ、ギタリストじゃないのでリフを考えるのには凄い時間かかりました。あとはもう勢いで作っていった感じなので。ちなみに歌詞は、KISSのジーン・シモンズとノラ・ジョーンズについて書いたんですけどね(笑)。
●あー!そうなんですね。タイトルは造語?
寺井:そうです造語。理由なんて要らないよねって事ですかね。そんな音楽は堅苦しいものじゃないし。理屈よりも、音で楽しめればいいよねっていう。
澤本:バンド全員で歌う曲がちょっと欲しかったんです。
寺井:あ、それに関してはちょっと面白い事あって、何か最近、人生の楽しみ方が一個変わってきてて。昔って理想を描いてそこに向かいたい気持ちが強くあって、それを実現したくて頑張っていたんですけど、最近まったくそれが無くなっちゃって、もちろん向かいたい所はあるんですけど、何か…んー、例えば自分の理想に到達できたとするじゃないですか?でもそれって自分のビックリゾーンには行けてないわけですよ。
●ん?
寺井:自分にとっての驚きみたいな。驚きが一番面白いことだと思うし、そこに行くにはどうしたらって思ったときに、ハプニングや事故って大事やなって思ったんですよ。ピンチはチャンスってそういう意味でもあるのかなと思って。それに近いことなんですけど、そこに直面した時に初めて新しい物が生まれるんちゃうかなって。この曲はAメロとサビがの歌がかぶっていたんですよ。だからライブで歌えないかもしれない、サビ重なってるからスムーズにいけないかもしれない、それだったらきょんぴーとさんちゃんでそこ歌ってよって。それで実際に2人に歌ってもらったら、いい感じになったなぁと。話は変わるんですけど、この曲ライブでやるとき、お客さんも込み込みで歌いたいんですよね。ワンマンまでに覚えてきて!みたいな(笑)。

●『サーチライト』
寺井:これもE.P.からの曲で、割と好評な曲ですね。実はE.P.に収録されているバージョンとこのアルバムに収録されているバージョンはアレンジが違うんですよ。何故アレンジを変えたかと言うと、当時は曲の尺にかなり固執してて、3分半くらいに納めたいっていうのが常にあったんですよ(笑)。ビートルズの曲って短いんだけど、すごいじゃないですか。その影響でなるべく曲を短くしていたんですけど、ライブでやったり、家で聴いたりしていると曲としてのボリューム感がどうも納得いかなくなってきて、やっぱりもうちょっとと思ってAメロ足したんです。2Aを。結果、そっちの方が良くなった気がします。ただ一回書き終わった歌詞に書き足す作業は、思いの外、大変でした。一度は完成させているので、その時の気持ちを思い出すことから始めないといけないし、今の歌詞に何が足りていないのかとか分析しながら書かないといけなかったので、数行加えればいいだけの話なんですけど、何度も何度も書き直しました。
●はい。歌詞的には。
寺井:この曲を作っていた時は、何事も自分で決めて自分の足で歩いて行くと決意した時だったから、いろいろ悩んでいて。『FLAG』を作っていた頃は自主レーベルとはいえど後ろ盾もあったし、CDの販路のことだったり誰かに任せていた部分も多かったんですけど、『サーチライト』を作っていた時期は、もっと自分の力でやっていかなくちゃいけないとか、バンドをもっと転がしていかなくちゃいけないとか、そういう使命感みたいなものが強くて。それで、前へ前へ進もうとするんですけど、誰もわかってくれなかったり、相手にされなかったりで、なんか自分の居場所は一体どこにあるんだろうって毎日悩んでたんですけど、でも落ち込んでてもしょうがないし、前へ進まなきゃと、進まない限りなにも見えてこないし…そういう思いでこの歌詞は書いていましたね。もっと言えば、自分という存在に気づいて欲しかったのかもしれないですね。

●『Flower Soul』
寺井:これはバンドというものへのメッセージソング的なニュアンスが強かったりもします。僕も気がつけば30代で、周りのバンド仲間もそんな感じで、やっぱり人生を今一度考える時期でもあるわけですよ。それがゆえにバンドという道から離れていくバンドマンもたくさんいて、はたまたまだまだ続けている人もいて…すごくデリケートな問題ですよね。それぞれ色んな理由があるから。ただなんかむずかゆい思いも正直あって。バンドが無くなれば、そのバンドのファンは悲しむわけで、結局、最後はエンターテインメント出来へんのかって。喜びとか楽しみとかを運んでいく仕事をしてんのに、最後はそうなってしまうんかなって、思ったんですよね。ただ僕だって命の限りがあるし、つまりいずれはバンドに終わりが来るということでもあるので、そのパラドックスに関してはまだ答えは出せていないんですけど。そういうことを踏まえた上で、今まで自分達がやってきたこととか、間違った方向でも努力してたりとか、そういうのをやっぱり何か人生の形としてちゃんと残したいなって思いがあるから。自分はこう思うっていうことを歌詞に書きました。
澤本:これも元から伸びて、構成も変わって、何か凄い、聴き応えが出た。
寺井:これも短くし過ぎてた。
澤本:もっかいサビ聴きたいなって(笑)。
寺井:構成変えるのにはちょっと苦労しました。
澤本:色々お試しして、いい感じに盛り上げも出来たし。
寺井:そういうの面白くないですか?このCDとこのCDで曲違うぞみたいな。同じ曲やのになんで違うの?ってなるでしょ。そういうのも面白いかなってあるんですよね。一つの理由として。

●『ウォーカー』
寺井:これはさっき言っていた感じで、アルバムの核的な、アルバムで一番伝えたかったことだったりします。ただこの曲、最初は『LIFE』というタイトルだったんです。しかも、アルバムも『LIFE』ってタイトルにしようかと思っていたんですよ。というのも、アルバムのテーマが自分が今までの人生で感じてきたことを歌にすることだったので、そういう風にしようと思っていたんですが、どうも「LIFE」という言葉に個人的なニュアンスを感じるようになってて。やっぱり歌というのは作った人のものじゃないし、聴いている人のものだと思うんですよ。それなのになんか「LIFE」という今までの自分総まとめみたいな感じのタイトルがつけられるのはどうかなって。それでいろいろ考えて、最終的にこのタイトルに落ち着きました。メッセージソングでもあり、今の自分の姿勢だったりもします。そんな感じでこの曲は書きました。
澤本:(笑)これ、ギターが良いんすよ。ギターが。僕この曲のギターが凄い好きで。
寺井:どんなやったっけ(笑)
澤本:何か良い具合にやってんねん。良い仕事した。
浦山:(笑)。
澤本:僕、ドラム録って、ギター録りの時聴いてなかったんですよ。ずっと知らなくて、完成して聴いて「ギターええな!」って(笑)。
浦山:Bメロの裏で盛り上がってるところにソロみたいなやつを(笑)。
●良い曲です。スタンダードなLOVE LOVE LOVEみたいな。
寺井:でも意外とこういう曲なかったでしょ?こういうテンポ感の曲。
浦山:なんかそうね、こういうテンポのって。
寺井:なかったよね。だから作りたいなと思って。
浦山:ちょっとフォーキーなね。

●『あしたのストーリー』
寺井:これは、本当はタイアップ用に書いてた曲ですね。何か旅番組の曲を一曲書いて欲しいとお話しをいただいて、一応これをお勧め曲のひとつにしたんですけど、何故か二曲目の『鼓動』が選ばれてしまったんですよ(笑)。まさかの。旅番組の曲ということで、一人の女優さんが色んな京都の各所にいって、成長していくみたいな話らしくて、歌詞もそういう感じにしたかったんですけど。何故か採用されず(笑)まさか全然予想もしてなかった曲が選ばれてしまって、びっくりでした。だから説明することはあんまり無いかな。久しぶりに遠距離恋愛をテーマに書こうかなって。くらいですかね。ダメダメなコメントですみません。でも、いい曲だとは思ってますよ。本当に。
澤本:(笑)爽やかなね。
●(笑)爽やかでちょっとこじらせてる感じの。ポンポン入ってる音はなんですか?
寺井:鍵盤です。最近は鍵盤にあまり興味が無くなってきたんですけど、これは入れましたね。オルガンとシンセみたいな。

●『レイン』
寺井:これは去年のE.P.にも入ってたやつですね。ワンマンくらいに出した曲ですけど。ちょうどE.P.も完売しちゃったんで、入れておこうかなって。こういう感じのコーラスに凝ってた時期に書いた曲ですね。そういう、メロディに対するコーラスじゃないフレーズとしてのコーラスに凝ってた時期。
●歌詞的には?
寺井:なんやったっけな。あんま覚えてないな。
浦山:雨だね。
寺井:好きな、雨、めっちゃ出てくる。雨好きっすね。最近の雨は嫌いですけど。降り過ぎ。
浦山:しとしと降る雨が好きなんでしょ?
寺井:雨な感じが好き。雨自体は好きじゃないけど。