クボケンジ 『クリスマスソング・プロジェクト』インタビュー
INTERVIEW[2016.08.26]
やっぱり音楽を作って生きて行きたいと思ってるから、
ちょっと楽しみにしてくれてる方とかは気にして欲しいなって思います。
メレンゲとか、僕の存在とか。

メレンゲのフロントマンにしてソングライターのクボケンジがクラウドファンディングに挑戦!自主レーベル『BoGen Records』を立ち上げ、「クリスマスソング」を制作する企画。ソロプロジェクトながらもメレンゲとして、一人のミュージシャンとして、「これから先の音楽の在り方」を見据えた意欲的な一歩だ。

●よろしくお願いします。
クボケンジ:よろしくお願いします!	
●今日はクボさんとしてのインタビューですが、まずはメレンゲの近況から教えてください。
クボ:最近はそんなに活動的じゃなかったんですけど、先日は企画ライブしたりもして…ドラムが抜けたんで、バンド感を追求したいなって思っているので、バンド内では色々話し合ってる最中ですね。やっぱりこの一年くらい、今の編成でライブしたりして、何となく新しい音像みたいなものは見えてきたかなって思うんですけど、でも、何か、もっとこうしたい・ああしたいっていう気持ちがあるんで。
●そういう気持ちがありつつ、でも今回のプロジェクトはソロで動く事にしたんですね。
クボ:はい。メレンゲを止めるつもりは元々無くて。ただ、今年は、少し一人で何かやるっていうのも面白いなって思った時期だったんです。それでソロのワンマンを大阪と東京でやったりして、その活動の理由みたいな物が自分の中で欲しくて。…それはやっぱり、バンドやりながら何かやってる、とかじゃなくて、何か一つ「それをやってる意味」みたいなものを見出したいなと思ってたんです。そう考えたらやっぱり「音源を出したい」ってところに行き着いて。それが一番大きい理由ですかね。うん、落とし所を自分で見出したかった。
●やっぱり音楽に対して生真面目ですね。
クボ:そうですね(笑)。多分、結構楽しんでるからっていうのもあると思います。
●立ち上げのメッセージも読みましたが、やっぱり母体となるメレンゲを動かすにはちょっと体力がいるというのもあって?
クボ:バンドとして何かをやり始めるっていうのは、それはそれで結構な決断とか、覚悟みたいなものが必要で、一度ちゃんと動かしだしたら、やっぱりその方向性は安易に変えたりはしたくないし。メレンゲが大事なので。今すぐにはメレンゲとして濃い内容の物を考えて提示する事は出来ないなって。でも一人だと自由度が高い分、考えやすいっていうのもあるんですよ。色んな挑戦が出来るっていうか。…しばらく潜んでても良かったんですけど、何かしたいなって今年に入ってから思い始めて。
●その、意欲的になったきっかけみたいなものはあったんですか?
クボ:うーん、去年、年末にちょっと弾き語りとかしてたんですね、元々そんなに弾き語りは演らないタイプだったんですけど、やってみたら、そういう演奏のほうが未完成な形ではあるけど、言葉が凄く届くんですよね。楽器の層が薄いし。ストレートに自分が書いてた言葉とか、思ってる感情とか、バンドより安易に出しやすい・試す事もやりやすいなって。それで弾き語りでワンマンやってみようかなと思って。
●じゃあ本当に去年の暮れくらいからそういう発想になったんですね。
クボ:そうですね。あとはバンドだと中々行けない地方に行きたい気持ちもあったんで。もしかしたら、一人なら行き易いのかなぁって。でも音源を出したいなと思ったのは本当に最近です。
●はい。ソロ音源を出すにあたって、事務所にも相談したり?
クボ:はい。最初にしました。やっぱりそこは筋を通さなきゃいけないなと思って色々相談して。「今メレンゲはそんなに活動的に動いてるわけじゃないから、だったら面白いと思うしやれるだけやってみたら?」って言ってくれて。
●ツヨシ君には最初なんて話したんですか?
クボ:ツヨシには、最初、ソロでちょっとやろうと思うって。割と軽い感じで言って(笑)。そんなにね、会って、ミーティングして、「ちょっと俺やろうと思うんだ」みたいなそんな重い感じではない(笑)。さらっと言って。まあツヨシも止める理由はないじゃないですか?だからまあ、「それはそれで良いんじゃない?」って感じでしたけどね。
●じゃあ、結構さらっと。
クボ:多分、俺がやってみたいと思ってたのを感じてたんじゃないですかね。あと、もちろんメレンゲの話もするんで。そういう意味では「メレンゲを止めてソロやろうと思ってる」とか、そういうムードは無いんで。色んな事やってみるのも良いんじゃないって。
●ツヨシ君も協力的で。
クボ:まあ、何も相談してないですけどね(笑)。いろいろ自分で動いてますけど。
●クボ君、動き出したら行動派!
クボ:(笑)でも曲を作るくらいしか無いですけどね。8月中にレコーディングしたいと思ってて、音源は早めに作って、ちょっと余裕もって…ミュージックビデオも作りたいのもあるし。色々考えたいなって。
●その、最初にソロの音源をって考えた時に、「クラウドファンディング」という選択をしたのは何故?
クボ:結構知人とかスタッフとか、周りの人からもやってみたら面白いんじゃないって話をして貰ってて。でもね、どこかにお願いしてとか、どこかにソロとして所属してリリースっていうのは考えてなかったです。もう、それはちょっとやりたくないなって。多くの人が関わるとそれはそれで凄く良い物、立派な物には仕上がるんだけど、やっぱり今までやってきたメレンゲとの線引きもしたかったんで。何か…もう少し、ありのままの物を作りたいなと思ったので自主で出すっていう事以外はあんまり考えてなくて。あとはクラウドにするかどうかは、別として。ポイントとしては、自主でやらないとつまんなくなるなとは思ってたんで。
●今までの経験を踏まえて、ソロで出すならミニマムにやりたいと。
クボ:そうですね。今回のクリエイティブに関しては閉鎖的にやってみたいっていうのはありましたね。で、クラウドにしたきっかけは、別に自分で自宅の環境とか駆使したらそれなりの物は本当は作れるんですよ。今は割りとパソコンでもいろんな事出来るんで。でもそういう事からは離れたいなって。そうすると、音楽に集中するならそこは凄く、やっぱりカロリーがかかるというか。色んな人にお願いもするし、生のニュアンスで贅沢にやりたいっていうのもあるんで。
●クオリティを落とさない為にも予算を考えて。
クボ:先にどれだけ予算を作れて、買ってくれる人の約束を得られるかっていう。クラウドと言っても、ただで貰ってるわけじゃなくて「投資」して貰ってるから、何か返さなきゃいけないし。返す物は基本的には商品なので、先に買ってくれる有志の人達がお金を預けてくれるなら、もう少し自分の中で見合った音作りが出来るかなって思ったのがきっかけですね。
●クラウドを始める時は緊張しました?挑戦、みたいな。
クボ:…勿論賛否はあるだろうなと思ってましたね。先にお金を払って貰って作るっていうのは。今まで当たり前だったシステムではないので。ただ自分の中には、やっぱり音楽ってどんどん細分化されていって、良い音楽であっても中々予算の理由で消えていっちゃうバンドもいっぱいいるし。でも大勢の人に届くように自分を曲げて頑張った所で、それはそれで本当にメレンゲとか、その音楽を好きな人も戸惑うし。僕は自分を変えて、みたいなのは出来ないので。今僕らを好きでいてくれる人達は大事なので、そういうコミュニティで何かもし、この音楽を暖めていけるのなら、それで面白い事が出来れば、そういう音楽のあり方も良いんじゃないかなって。自分らを好きな人を大事にして、その中で自分も変化していきたい。そういう挑戦は今後もっと増えていきそうな気もしたので、早めにやっておきたいなっていうのはありましたね。
●早めに。それもあってソロっていうのもあったんですか?
クボ:うん、メレンゲでやるって程の勇気は無かったのかも知れない。やっぱりメレンゲは凄く、自分の中で大事な物なので、そこでガッと大きく方向性の舵を取るなら、行ったり来たりはしたくないから。あんまりバタバタするのは僕は好きじゃないんで(笑)。
●ああ、そうでしたね(笑)。
クボ:色んな人との関係性もあるし、安易には踏み出せないのは事実ですね。