見放題2014
見放題実行委員長・民やん インタビュー
SPECIAL[2014.07.02]
●せっかくなので、初年度からの、印象的だったことを聞きたいんですが、まあ1年目は勉強した年だったと。
民やん:そうですね(笑)。
●2年目は?
民やん:2年目は、1年目の失敗があったんで絶対成功させたいっていう気持ちがあって。一個一個ちゃんと、気持ちでオファーしていって、イベント当日までちゃんと繋げてやっていったんで。自分で言うのもなんですけど(笑)、こんなに楽しいんやって。お客さんも出演者もそうだと思うんですけど、急にフェス感が出たと言うか。その当時で言うと、ライブバーみたいな会場もあって、ムジカジャポニカっていう処なんですけど、そこのカレーが100杯以上売れたとか(笑)。
●おー!
民やん:当時のパンフにここのカレー美味しいですとか書いたりしてて、皆行ってくれたみたいで。全体の集客も2倍くらいになって、どのハコもお客さんがちゃんと入ってましたね。2年目にして、これはイケるなって、確信持てたし、自信にもなりました。関西ではイベントの認知度も上がりましたね。
●はい。3年目は
民やん:まだ梅田でやってたんですけど、梅田AKASOが入ったのが大きかったですね。それまで150キャパみたいな処だけでやってて、そこに700の会場が(笑)。2年目は全体で400人の動員だったんですけど、そこに700人キャパっていう。そこが3年目の勝負でしたね。2年目で調子に乗っちゃったところもあるんですけど(笑)。
●(笑)実際、フタを開けてみたら、どうでした?
民やん:良かったですね。ちゃんと700以上の動員があって。…僕らが良かったなって思うのは、堂島孝平さんが出てくれたんですけど、やっぱりああいう、キャリアがあるかたも出てくれるっていう。大阪の若手を盛り上げたいっていう、やりたい事のスタンスは変わらなかったんですけど、そこに…いわゆるビッグネームのアーティストが入ってくれた事で、いろんな人が目を向けれくれるようになりましたね。
●ちなみに、堂島さんはどういう繋がりで出ることになったんですか?
民やん:堂島さんは、当時ライブハウスで若手とライブをやっているモードの時期で、井上ヤスオバーガーと2マンやったりとか。その中で出会って、話してみたら是非っていう事になって。だからゼロからオファーしたと言うよりは、出会って知り合いになってからで。
●じゃあ堂島さんもイベントの主旨を理解したうえで、参加してくれたって事なんですね。
民やん:本当、そこです。それより前で言うと、リクオさんとかがそういう存在だったんですけどね。
●あ、リクオさんは一回目から出てらっしゃるんですよね。
民やん:そう、皆勤賞です。いいイベントだっていう事で情報発信もしてくれてたみたいで。リクオさんから聞きましたって矢野顕子さんから連絡が来たり。リクオさんが全国でいいイベントだよって言ってくれてたみたいで。堂島さんもインタビューで見放題の事を語ってくれてたりして。だからリクオさんと堂島さんには、もう勝手に恩を感じてると言うか。ああいう人が、出るだけじゃなくてちゃんと打ち上げまで残ってくれたりして。そういう機会ってあんまり無いじゃないですか?しかも、堂島さんについて言うと、出番が夜8時過ぎだとして、このイベントはリハも無いんで、6時くらいにくればいいんですけど、堂島さんは朝10時に来たんですよ。
●おー凄い。じゃあ、ちゃんと他の出演者を見てたって事ですよね?
民やん:そう、見てたんですよ。こういうイベントの主旨も分かってくれてて、じゃあいっぱい見ないとって。しかもその日は雨で、雨の中お客さんと一緒に並んでたりとか。次の日に会って話した時には、「朝、スタッフの顔を見ればどういうイベントか分かるから」って言ってくれて。ビックリしましたけどね、朝オープン準備してるところに入ってくるんで(笑)。まだトップバッターの井上ヤスオバーガーしか来てなくて、他の出演者も全然来てないのに(笑)。そういうのも僕は嬉しかったですね。やっぱりイベントを理解してくれてる事が大事だなって。正直ここまでの規模になるとそこまで徹底は出来なくなってますけど、6年目なんで。でもやっぱり、出会いは別としても見放題当日までには一回は挨拶に行ってこういう人間がやってるって、ちゃんと知ってもらおうって思ってるんですけどね。
●3年目でそういう意味で大きくもなって、それで4年目は?
民やん:4年目はミナミに移ったんですよ。本当は5年目からミナミに行きたいっていうのがあったんですけど、僕らがメイン会場にしていた梅田RAIN DOGSが無くなってしまう事情があって、キタが厳しくなったっていう現実もあって、一年前倒しでミナミに。余計MINAMI WHEELと比較される場所に。
●あー、やっぱり最初は言われました?
民やん:言われましたねー。キタだから面白かったんじゃないの?とかもやっぱり言われましたね。でも僕らはミナホとは違うことをって考えてたんでね。
●元々MINAMI WHEELとの住み分けは考えながらやってきた処で、ミナミに移るときに、更に気を付けた事とかありますか?
民やん:…でもよく言われたのは、対立してる感じが無いねって(笑)。勿論MINAMI WHEELも大好きなので、その中でどういう事が出来るのかなっていうのも考えましたし。その年かな?『見な放題』っていう、ミナミホイールとつながりを持ちつつ、コラボした企画をやって。やっぱりミナホ出たら見放題出れないんじゃないですか?とかも聞かれて。勿論そんなことは無いんですけど、心配したバンドマンとか関係者の方も居たので。まずはそんなこと無いんだよっていう事を伝えなきゃって。開催の時期も変えてるし。それを色濃く見せる意味でも『見な放題』は良かったのかなと。ミナホのパンフレットにも載せてもらいましたし。「あ、公認のイベントなんだ」って分かる。イベント的にも面白いと思ったし、そういう関係性を見せられたらっていう裏事情もありましたね。
●その、4年目の時は、ミナミに移って、収容人数的にはどれくらいの変化があったんですか?
民やん:人数的には…まず、会場数がほぼ倍。3年目が7会場だったんですよ。7会場と言っても30人しか入らない処もあったりして。それが、10会場になって、150から200くらいは入るようなハコと、BIG CATの800があって。桁違いになったなあって自分たちでも自覚していて。
●思い切りましたね。
民やん:(笑)。でもまあ、積み重ねてたんで、イケるという自信はありましたね。実際は1200人くらい動員して、どこもお客さんが入ってるような状況で。セカイイチとかLOST IN TIMEとかも出てましたね。2011年、蜜がトリで。5年目の2012年はtricotがトリで、東京カランコロンとか出てますね。SAKANAMONもまだDROPで。
●2012年、5年目はもうミナミも2回目で、何かトピックスは?
民やん:同じ事を続けてたら、面白くないなってとこで、何か仕掛けたいなと。企画物みたいなところで言うと、シークレットを仕込んでみたりとか、東京からバス走らせてみたりとか。見放題バスっていう、新宿からアメ村まで。正直下北から走らせたかったんですけど、
●わはは。発着所的に無理っすね(笑)。
民やん:そう、下北は大型バスは無理、停まる場所が無いって(笑)。やっぱり、僕らが面白いと思うことをやりたいなって。ミナミ一年目もそうなんですけど、驚かせたいっていう、トリの蜜の前にクリトリック・リスをシークレットで出したり(笑)普通やらないだろうって事をやってみたり。あと、セカイイチとロストが出るから海北君と岩崎慧で岩海苔とか、5分前にツイッターでだけ発表してカフェでライブやったりとか。そういうナニソレっていう、タイミングよく見た人だけがわかるやつとか。
●それも乗ってくれるアーティストが居ればこそですよね。
民やん:そうそう。リクオさんとかも、その日出てるアーティストをリクオさん本人が集めて、一緒に演っちゃうとか。だから行った人しか分からない。どんどんステージに上げて曲をセッションでやっていくっていう。若手でも面白かったのが、ロマンチップスのライブにウルフルケイスケさんがシークレットで出てきてギター弾いちゃったとか。あれはメンバーが直接ケイスケさんに、面識無いのにメールして、そうしたら演るよって。
●おー!フットワーク軽いですね。
民やん:元々はケイスケさんが「せっかく行くからセッション出来たらいいな」みたいな事をつぶやいてたんですよ。普通は知り合いとかじゃないですか?そこにロマンチップスが喰い付いて、まさかの(笑)。お客さんがビックリみたいな。僕らもそういうの好きだからやれやれって言うし(笑)。やっぱり普通のサーキットとは違うかなって。
●この規模になっても、そういう細かいところまで主催者側の目がいってるのが凄いですね。
民やん:まあ、そこはやっぱり全出演者を知ってるからだと思うんですよね。知ってるから、この人とこの人なら何かやれるかな、とか。むしろ何かやったら?ってちゃちゃも入れますけど(笑)。関係性が全部分かってるから、例えばこの人のバックはこいつやから、この時間は難しいよね、とかも分かってますし、このバンドとこのバンドは仲良いから時間離してあげようとか、逆に被せてやろうとか(笑)、いろいろあるんですけど。お客さんにはタイムテーブルが配慮されてるなって言われますね。好みはそれぞれなんでお客さんによっても違うんですけど。僕らもみんなせっかく出てくれてるのに、お客さんがあんまり居なかったっていう状況にはしたくないんで。見て欲しいんで、見てもらいやすいタイムテを作ろうって。そこが一番気を使いますね。
●サーキットはタイムテーブルが一番大変ですよね。
民やん:皆が楽しかったなって言ってもらえるようにしたいので。毎年パズルを埋めるのが大変です。
●やっぱり中心に居る人が全バンドを把握しているっていうのは凄い強みだと思いますよ。私もサーキットイベントの主催者側にいたので分かります。
民やん:そうですよね。2人が全てを把握してるので、2人が喋ればいいだけなんで(笑)。楽は楽ですね。
●はい。そして2013年、去年ですね。去年も面白かったです!
民やん:ありがとうございます(笑)。実はね、去年はね、そんなに新しいことは出来なかったんですよ。ちょっと、僕ら2人が忙しくしすぎてちょっとダメだった(笑)。ブッキングは楽しく出来たと思うんですけど、新しく変わったことが、もうちょっと出来たらなっていうのはありましたね。
●そうなんですね。動員的には増えてましたよね?結構入れませんでしたよ(笑)。並んでみて、無理そうだから他のハコ行ったりとか結構ありました。
民やん:あー(笑)。そうなんですよね、だいぶ難しいところですよね。どこまでお客さん入れるか・入れないかっていうのもあるし。動員的には増えましたね。2100まで超えて。その中で、どちらかというと若手の面白いバンドが中心になってきてて。その良さも当然あるんですけど、それだけじゃアカンなっていうのもって。中堅とか、大御所とか・・お客さんが低年齢化したっていうのもあって、意外とベテランのバンドにお客さんが入らないとか。その辺のバランス感が悪かったのかなっていうのが反省点として残って。でも何処へ向かっていくかとかどうするか、考えてるんですけど。
●ちょうど間になる年齢層のお客さんがいるバンドが少なかったのかな。
民やん:そうですね。中堅とベテランの数も少なかったのかなって。そのバランス感は今年は考えようって言ってて。
●なるほど。あ、思い出したんですけど、去年新しいことありましたよね。終演後のゴミ拾い!
民やん:ああ!はい。
●帰りにゴミ拾いをしてる人たちを何組か見かけて。凄いなって。あれはどうして始めたんですか?
民やん:やっぱり、「街」、単純に僕らはライブ会場だけでイベントやってるんじゃなくて、一般公道もほぼ会場と言っていい状態でやってるんで、その街の人に「NO」って言われたら出来なくなってしまうので。その一つの形としてゴミ拾いをやろうっていうのと、今、風営法とかの問題でアメ村はそういう事にシビアになってて、夜中クラブが出来なくなってるんです。元を正せば夜中の騒音とか、住んでる人たちに反対されてっていうのもあるので。その中で若者がゴミ捨てて歩いてっていうのはダメだと思うので。ライブハウスの人たちも朝とか定期的に掃除活動とかしてるんですよ、実は。そういう意味ではアメ村は数年前に比べてガクッと下がって来てて。金曜日の夜とか、人がたくさん居て賑やかだったんですけど、たまにゴーストタウンみたいになってて。クラブが開けられないから誰も集まってこないっていう。やっぱりクラブによって成り立ってた街なんで。ライブハウスも同様で、昼夜はライブで深夜はクラブって所も多かったし。そういう会場があって、僕らもイベントが出来てるんで、街のに対してもパフォーマンスだけじゃなくて、ちゃんとしたいっていう。お客さんにも徹底出来ればなって思いますね。ゴミ拾いに参加してくれって話じゃなくて、ゴミを落とさないでっていう部分で。皆が意識すれば、それが見放題のお客さんじゃなくても、街が良くなるかなって。僕らはその日しか使わないですけど、365日使ってる人から見たら「またライブハウスのお客さんがこんなことして」ってなるし。
●ああ、バンドの人もハコの人も困ることになりますよね。
民やん:そう、だから僕らから発信していけば、見放題のお客さんには伝わるかなって。だから結構バンドマンもゴミ拾いに残ってくれる奴とか居て、嬉しかったですね。