ネモト・ド・ショボーレ対談連載
TALKIN' REC TAPES #6ゲスト:松田“CHABE”岳二【後編】
SPECIAL[2016.09.21]
●選曲はCHABEさんがされているのですか?
CHABE:紗羅がやりたいっていうのもあるし、チエちゃんが歌ってるのは元々レパートリーとしてやってたりもするけど、大体僕かな。
ネモト:あとLEARNERSが新鮮なのは、ロックンロールにジャズ的な要素が自然と入ってるからかな。
CHABE:ビッグバンドのジャイブみたいなのを50歳位までやれたらいいなぁと紗羅と話してたんですよ。人数集めてやりたいねぇって。それのとっかかりで5人組みたいな感覚だったんですけど、どんどん方向がバンドっぽくなったっていうかね。
ネモト:でもそれはこのバンドでもいつでも出来るもんね。
CHABE:うん、ホーンが入ればいつでも出来るね。浜(浜田将充)も変なベース弾いてるし、ドラムの太一(古川太一)も凄いし、代わりがないっていうような感覚ではあるかな。あのバンドは本人力がみんな凄いっすね。
ネモト:LEARNERSが始まったタイミングで、俺はちょうどピアノサウルスってバンドの動画を見たのがきっかけで、おもちゃの楽器だけでロックンロールを演奏するバンドやろうって決めて、一昨年の末くらいにCHILDISH TONES始めて。楽器もメンバーも一から集めて始めたんだけど、それに一番最初に反応してくれたのもCHABEくんで。
CHABE:僕、変なレコード集めるのが好きで、ピアノサウルスとかも普通に持ってたんですよね。
ネモト:今のバンド始めた時に、それまでそんなに親交の無かった人が反応してくれたんだよね。元THE HONG KONG KNIFEのジョー・アルコールとか、元RETRO GRETIONで今HI -HOPESやってるクボくんとか。
CHABE:発想から実現まですごく早かったですよね。
ネモト:もうそこしか見えてなかった(笑)。おもちゃの楽器集めるのとか夢中でやって。
CHABE:そこに20歳の女の子がいたりしてね。
ネモト:そう、そこは多分チャーベくんと似てて、この子達をどう面白く、カッコよく見せようかっていうのは考えてるかな。
CHABE:LEARNERSとCHIDISH TONES、相性いいっすよね。
ネモト:うん、やってる音楽も50年代とか60年代のルーツ的なことやるけど、そういう音楽をやってる人たちからしたら邪道なことしてるから。カバーするならメロディーがいいものをやりたいって気持ちもすごいあるし。LEARNERSは『SHAMPOO PLANET』って曲がオリジナルであって、あの曲がすごく重要だったと俺は思っていて。
CHABE:良かったぁ、あの曲入れておいて(笑)。苦肉の策で入れたんですよ。
ネモト:あれがあるから、これから行く道が自由になってるっていうか。チエちゃんもああいうギター弾けるんだ!って思ったしね。
CHABE:そう、あれ面白かったですよ。CLASHでこういうギター入ってますよね?こういうのどうですか?とか、あぁちゃんと自分で考えてくるんだって。ディレクションしてないですもん。
ネモト:あの曲は80年代のヒルビリー・バップスとかああいう歌謡ロカビリー的な雰囲気のものを、ギターポップとかもちゃんと通った人が、ものすごく90年代的にやったんだなって思った。不思議なムードの曲なんだよね。
CHABE:ちょっとネオアコ感ありますよね。LOOKING GLASSとか。それは正しいかもしれないですね。
ネモト:ネオアコもネオロカビリーも繋がってるもんね。
CHABE:そうなんですよ。それ、結構大事っすよね。ネオアコ集めてる人って絶対にネオロカも集めてたんで。
ネモト:90年代のギターポップのイベントでかかってたネオアコでもカントリーっぽいというかスイングっぽい曲とかがあって、その曲はずっとかっこいいなと思ってたけどっていうのが、最近また聴きたくなって。Jim Jiminee とかね。そういうのが全部繋がっていく感覚がLEARNERSにある。
●お二人とも違う道を進んできながら、ここで重なっていく感じはとても面白いですよね。
ネモト:そうなんだよね。チャーベくんも俺も45歳位で新しいこと始めたじゃない?だから、年齢関係なく新しいこと始めようと思えば、いくらでも始められるんだなっていうのは自分でわかったし。若い子には焦らなくても別にいつでもゼロからやれるんだよとは言いたい。今時の子は、すぐ辞めちゃうし、諦めるのが早いっていうか。
CHABE:LEARNERっていうのが学ぶ人なんで、初心者上等みたいな気持ちでやりたいんですよ。そしたら僕がギターを置いてトロンボーンとかを下手なりに吹き始めても面白いし、そういうのを目の当たりにするとやってみようかなって人が増えるっていうか。僕もバンドやってみたいですとか、それもあるかもしれない。女の子とかが家でCUPS練習したりね。
ネモト:RAMONESとかとは違う形で初期衝動を提案できるかもしれないね。
CHABE:僕は、やりたいことがある人は、直ちにやった方がいいと思うんです。なぜなら、今自分がやりたいことって、この世界の中で同じこと考えてる人が10人くらいいると思うんですよ。必ず。だったら自分が一番に出すのが一番大事って、それはいつも思ってて。洋服とかもそうなんですけど。
ネモト:kit galleryは何でやろうと思ったの?
CHABE:あれはね、元々借りてたんですよ。デザイン事務所とシェアしてて、でもデザイン事務所が手狭で出て行く時に、僕が引っ越す物件を見つけられなかったから、改装してギャラリーにしたら家賃は何とかなるんじゃないかなって思った感じで、何となく始めたんです。自分のプラカード店みたいなのが欲しかったのもあって。でも作って3ヶ月で震災起きて、借りる人いなくてどうしようって、一年間はすごく大変だった。
ネモト:最近見てて若い子が個展やったりしてるの、すごくいいなと思ってて。
CHABE:あれはわざとで、kitの洋服が好調なんで、好調なうちに若い子をタダでもいいから使わせたかったんですよね。そういう場所の刺激があると、他にもやってみたいとかどんどん出てくるんで、ギャラリー自体のプロモーションというか。若い子からはお金取れないから。
ネモト:あの場所が好きになるよね。来た人は。
CHABE:なるべくそういう風にしたいなと思ってますね。